今回の記事では「リニアガイド(リニアウェイ)」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
リニアガイドの種類
リニアガイドとは、レールによって直線運動をガイドする役割を持つ精密部品です。シェア率大手のTHKが「LMガイド(商標名)」の名称で販売していることから、リニアガイドをLMガイドと称する場合もあります。
一般的には、レールとボール列の接触角の違いによって以下の2つに分けられます。
①ラジアル荷重型:
上からかかるラジアル荷重に強いLMガイド。基本的には、水平方向に取り付けられます。
②4方向等荷重型:
どの角度からの荷重にも同じ許容荷重を持ったLMガイド。壁掛けや逆さ掛け等、多用途で使用することが出来ます。
リニアガイドメーカー(リニアウェイ)各社のメリット・デメリット
リニアガイドを扱う主要メーカーは、10社程度あります。その中から、国内シェアの高い3社を機械の特徴やメリット・デメリットと合わせてご紹介します。
THK株式会社(THK)
出典:THK
THKは、1971年創業と比較的新しい企業ですが、世界で初めて直線運動の「転がり化」を実現したメーカーです。同社の国内シェアは約7割、世界シェアも約5割を誇るトップメーカーです。
切削加工技術が高く、品質管理も徹底していることから、同社の精密部材を指定する機械メーカーもある程、信頼を得ている企業です。
DX化にも積極的に動いており、2020年には製造業向けIoTサービス「OMNIedge」を発表。
後付センサによって部品の状態を数値化することができ、不要なメンテナンス業務を削減したり破損前の交換品発注などが可能となりました。今まで人力で管理していた工数を大きく削減できるのが特長です。
尚、同社のリニアガイドは「LMガイド(Linear Motion Guide)」の名称で販売されています。シェア率や実績などから基本的には同社製品を選定するので問題ありません。
ただし「標準品」の仕様を以下で紹介する2社と比較した場合、安全性を考慮してか、カタログ記載の定格荷重が低く設定されている点は注意が必要です。(サイズによってはTHKが上の数値を出している製品も有り)
日本精工株式会社(NSK)
出典:NSK
NSKは1916年創業の老舗総合軸受メーカーです。ベアリングの国内シェアNo.1の企業として有名ですが、同社はリニアガイドも生産しています。
「NSK K1」と呼ばれるNSK独自の固形油を使用のが特徴で、レールに接触させて動かすことにより、新鮮な潤滑油を軌道面へ供給できる仕組みです。
近年は含有材料が変更され、万が一潤滑油が飛び散った場合も害がなくなり、医療用・食品用機械でも使える仕様になりました。
欠点としては、競合他社と比べて標準品の単価が高い傾向にあることです。
ハイウィン株式会社株式会社(HIWIN CORPORATION)
出典:HIWIN
ハイウィンは、台湾・台中に本社を置く部品メーカーです。1989年創業と後発企業でありながら、価格の安さで差別化を図りシェアを伸ばしています。1999年には日本法人を設立し、2022年には100億円規模の投資を図り、神戸に新工場を建設しています。
2021年頃からコロナ明けの急速な需要回復により注文が増え、生産体制が整っていないTHKの国内シェアを引き込もうと日本市場に進出しています。
同社の最大の特徴は「低価格」な点ですが、やはり品質の部分ではTHKやNSKと比べて安定していないのはデメリットです。
リニアガイドの価格相場
LMガイドは基本的にガイドの長さ・ブロック数・防塵仕様など一点一点がオーダー品なため、価格相場を挙げることが難しい精密部品です。
とてもざっくりした価格帯ですが、以下を参照してください。
- ブロック単体で約7,000円〜
- 定尺の最も短いレールで約5,000円〜
以上から、仮に1本必要とした場合は、標準価格は約12,000円〜となります。
またリニアガイド(LMガイド)は求める精度によっては2本で使う場合も多々あります。型式がほぼ同じなので発注時のミスに注意が必要です。
【リニアガイドのお見積り依頼はコチラから】
リニアガイドの選び方
今回ご紹介したメーカーの場合、やはり国内シェアの高いTHKやNSKから探すことをおすすめします。
どうしても予算の都合によって安価な製品を選ばなくてはならない場合や、THK・NSKの納期では間に合わない場合にハイウィンを次点として選定するのが良いかもしれません。ただし精度等で問題が起こる可能性も考慮する必要があります。
リニアガイドのまとめ
今回の記事ではリニアガイドについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- リニアガイドとはレールによって直線運動をガイドする役割を持つ精密部品です
- THKが商標登録している「LMガイド」が一般的な呼び名となっているが、正式名称はリニアガイトまたはリニアウェイなどである
- リニアガイドは、ラジアル荷重型や4方向等荷重型などがある
- 主要メーカーは、THKやNSK(日本精工)。外資系メーカーでは台湾資本のハイウィンなどである
- リニアガイドの価格相場は、1本あたり12000円~程度である
- 基本的には精度などで実績のあるTHKとNSKから部材選定するのが良い
【産業機器・精密機器に関するお問い合わせはコチラから】