今回の記事では「純水製造装置」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
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目次
純水製造装置の種類
純水製造装置とは、洗浄や希釈などの工程で使用する産業用の装置です。
半導体や液晶をはじめ、食品、医薬品、化粧品など多種多様な分野で使われています。小規模な研究室用から、大規模な工場用までさまざまなサイズの装置があります。分類としては大きく3つに分けられ、以下のような違いがあります。
①イオン交換樹脂を利用する装置
水中にはさまざまなイオンが不純物として含まれています。
- 陽イオン:Na+(ナトリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)など
- 陰イオン:Cl-(塩化物イオン)、SO42-(硫酸イオン)など
これらのイオンを、イオン交換樹脂で吸着除去して純水を製造します。 陽イオン交換樹脂は陽イオンを吸着し、H+(水素イオン)を放出。陰イオン交換樹脂は陰イオンを吸着し、OH-(水酸化物イオン)を放出。H+とOH-が結合し、H2O(水)になる原理です。
②逆浸透膜(RO膜)を利用する装置
逆浸透膜(RO膜、英: Reverse Osmosis Membrane)は、水分子以外の不純物を通さない性質を持つ膜です。
真水と塩水を逆浸透膜で隔てると、塩分濃度が同じになるよう真水側から塩水側に、水分子だけが自然に移動します。
この浸透現象で生じる圧力を「浸透圧」と呼びます。
このとき塩水側から逆に浸透圧以上の圧力をかけると、塩水側の水分子が、真水側に移動します。
この原理を利用して、逆浸透膜で水分子だけを通過させ、純水を製造します。
③EDIを利用する装置
EDIとは、Electro-Deionizationの略です。
日本語の直訳では「電気脱イオン」になりますが、機能面の意味から「連続電気再生」などとも称されます。
イオン交換樹脂による不純物イオンの吸着除去に加え、電気によるイオン交換樹脂の再生までも行います。
本来イオン交換樹脂は、不純物イオンを吸着して飽和すると、薬品(塩酸や水酸化ナトリウムなど)による再生が必要です。
EDIを利用する装置は、薬品による再生が不要で、連続して純水を製造することができます。
純水製造装置を製造するおすすめメーカー
純水製造装置を扱う主要メーカーは、約40社あります。その中でもおすすめの3社をご紹介します。
オルガノ株式会社(ORGANO)
出典:ORGANO
1946年創立の歴史ある総合水処理エンジニアリング企業。
小規模な研究室用から大規模な工場用まで、幅広い技術・製品を有しています。
水処理に関するほぼすべてのお客様のニーズに対応可能です。
メルク株式会社(MERCK)
出典:MERCK
1668年にドイツで創業。世界でもっとも歴史のある医薬品・化学品メーカーです。
純水製造装置は、2010年に米ミリポア社を買収して展開。Milli-Qシリーズは世界的なトップブランドです。
国内製品に比べて価格が高いのがデメリット。
アドバンテック東洋株式会社
出典:ADVANTEC
国内初の濾紙・試験紙メーカー。1917年創業の老舗です。
豊富なフィルターや理化学機器を、開発からアフターフォローまで、自社グループで一貫対応。
自社製品だけでなく、他社製品も取り扱い、さまざまなお客様のニーズにワンストップで応えています。
小規模な研究室用がメインです。
純水製造装置の価格相場
純水製造装置の価格相場は10万円~500万円程度です。
この価格は小規模な研究室用で、大規模な工場用の価格は非公開です。
価格が変わる要因はおもに3点。
- 装置サイズ(1日の使用流量)
- EDIの有無
- TOC計(全有機炭素計)の有無
メーカーによりますが、1日の使用流量が200L未満のサイズだと100万円未満。
200L以上のサイズだと、100万円以上の商品が多いです。
装置サイズが大きくなるごとに、数10万円〜数100万円高くなります。
さらにEDIやTOC計があると、おのおの数10万円〜数100万円高くなります。
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純水製造装置の選び方
まず大規模な工場用なら、オルガノのような水処理エンジニアリングを専門とした企業に相談する必要があります。
小規模な研究用なら、どの企業であってもラインナップは揃っているので、コストが決め手となるでしょう。
Milli-Qシリーズなどのトップブランドは、世界的な信頼性は高いですが、国内製品に比べてコストがかかります。
装置本体の導入コストだけでなく、消耗材の交換や定期メンテナンスなどのランニングコストも考慮しなければなりません。
不具合発生時のアフターフォローも重要。サービス拠点が近くにある会社だと安心です。
純水製造装置のまとめ
今回の記事では純水製造装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 純水製造装置とは洗浄や希釈などの工程で使用する産業用の装置
- 「イオン交換樹脂を使用する方式」や「RO膜を利用する方式」「EDIを利用する方式」などにわけられる
- 製造メーカーは40社近くあるが、主要メーカーは「オルガノ」を筆頭に3社ほど
- 純水製造装置の価格相場は、数十万円~500万円程度(ただし小規模な研究室・ラボ用途)
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■執筆担当者:つわもん 工場現場系フリーランスWebライター。製造業界および半導体業界で計7社を渡り歩く。 国内・海外あわせて20以上の工場で、現場をかいくぐってきたツワモノ。ただの器用貧乏なヨワモノとのうわさもあり。 |