今回の記事では「油圧装置」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
油圧装置の種類
大きな力が必要となる様々な工程で使用される産業用の機械が油圧装置です。油圧を利用して動力の変換や伝達を行います。
油圧装置は以下3つのシステムの集合体となっています。
①油圧ポンプ:
油圧ポンプとは、動力源(エンジンや電動機など)から得た力で作動油を昇圧させるポンプです。
その性能は最高使用圧力が高いほどより大きな力を得ることができ、吐出量が多いほど力を送るスピードが早くなります。
どちらの数値も大きい方が出力も大きくなりますが、出力の早さ、出力する力の大きさがどの程度必要であるかによって選ぶポンプは変わってきます。
また他にも静音性に優れたものや動力一体型のものなど様々な種類があり使用用途や使用場所によって選択肢は変わってきます。
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②制御装置:
制御装置とは、油圧ポンプで昇圧された作動油をどこにどれぐらいの量や圧力でどのタイミングで送るかを制御する装置です。
この制御を行う装置を「弁」「ポンプ」などとも呼びます。
構成部品も多く、単純な仕事を行う用途であれば製品として販売されているものでも対応可能な場合が多いですが、多くの複雑な仕事を行う場合では様々な部品を組み合わせた特注品でなければ対応できない場合もあります。
油圧ポンプと一体で油圧ユニットと呼ばれ販売されているものもあります。
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③アクチュエータ:
アクチュエータとは実際に仕事(動力の変換・伝達)をおこなう部分の装置の総称です。
代表的なものとしては、以下2つがあげられます。
- 直線的に力を働かせる「油圧シリンダー」
- 回転運動として力を働かせる「油圧モーター」
その他にも単純なプレス機から複雑な動きをする特殊な機械など既製品から特注品まで多種多様なアクチュエータが存在しています。
また、アクチュエータを複数を組み合わせて一つの製品にされているものもあります。
ショベルカーなどの建設用重機も複数の油圧シリンダーを搭載しているので油圧装置の製品の1つと言えます。
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油圧装置メーカー各社のメリット・デメリット
油圧装置を扱う主要メーカーは、約20社あります。その中から、国内シェアの高い3社をご紹介します。
川崎重工株式会社(KHI)
出典:KHI
1896年創業の老舗メーカーです。創業時の主幹事業は造船業ですが、造船に必要な周辺技術を蓄積しながら、様々な分野へと多角化しているメーカーです。
技術力の高さから油圧ポンプ、制御装置などに力を入れており、業界からも一定の定評を得ています。用途にあった油圧制御を提案できるのが同社の強みでしょう。
また「エンジン」の設計製造をおこなっていることから回移転運動関連の技術分野にも強く、今回の記事で取り上げた「油圧モーター」などにも注力しています。
株式会社小松製作所(KOMATSU)
出典:コマツ
1921年創業の100年以上にわたって油圧機器や工事現場で使われる建設用重機の生産を行っているメーカーです。
特に建設用重機に関しては日本でのシェアが1位であり、工事現場ではなくてはならない存在となっており操作性や使いやすさが好評です。
建設用重機メーカーで比較されることが多いアメリカのキャタピラー社の製品と比べるとパワーなどでは劣っている面もあります。
プレス機などは現在ほとんどがサーボプレスに置き換わってきており、建設用重機以外では油圧装置に関してはあまり力をいれていない印象です。
株式会社堀内機械
出典:HORIUCHI
1941年創業のアクチュエータの一つである油圧シリンダーに特化した企業として知られ、JIS規格における油圧シリンダーの国内シェアは40%となっています。
油圧シリンダーに関してはとても強みのある独自技術を有しており、様々な用途に合わせた油圧シリンダーの使い方を提供しています。
その他の装置部についてはそれほど注力しておらず、油圧シリンダー専業のメーカーです。
油圧装置の価格相場
油圧装置の価格相場は100万円~です。基本的には使用する装置(建機など)に合わせて油圧ポンプ、制御装置、アクチュエータを組み合わせる「オーダーメイド製品」となります。
簡単な油圧装置であっても値段は100万円近くするものが多く、特殊で大型の構成部品が多いものであると数億円になることも珍しくありません。
建設用重機に関しては製品としてそのまま売られているものが多く値段も比較しやすいです。
小型なミニショベルなら200万円程度からあります。しかし大きさが大きくなるほど高くなる傾向がありこちらも数億円するものも数多くあるので一概には価格相場を出すのは困難です。
迷った場合や価格のご相談は、以下のフォームからお願いします。
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油圧装置の選び方
油圧装置の選び方としては、使用する工程に合った能力を持つ構成部品を一つ一つ選んでいくしかありません。
- 心臓部分となる油圧ポンプ
- 神経や血管部分となる制御装置
- 手や足部分となるアクチュエータ
どの部品・機構も、それぞれ得意・不得意としているメーカーがあります。
必要となる構成部品を選定し各メーカの強みのある部分を組み合わせ一つの油圧装置を作成していくのが良いでしょう。
建設用重機に関しては大型の重機となってくると販売している会社が限られているためそもそも選択肢がない場合もあります。
小型のものでも作業効率や値段ももちろん大切な選択要素ですが、過酷な状況で使われることの多い建設用重機ではアフターサービスも非常に重要となってきます。
買った後のことも良く考え故障時などにしっかりと対応してくれるメーカーを選ぶことが大切になってきます。
油圧装置のまとめ
今回の記事では油圧装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 油圧装置とは、油圧を利用して動力の「変換」や「伝達」を行う装置
- 「油圧ポンプ」や「制御装置」「アクチュエータ」などのシステムの集合体である
- 油圧装置・油圧機器関連を扱う主要メーカーは、「小松製作所」「川崎重工」「堀内機械」などを筆頭に20社ほどある
- 油圧装置は、使用する機器や仕様によって数100万円程度~数億円規模と価格帯にばらつきがある
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■執筆担当者:KenOs 昼は自動車整備士、夜は覆面の執筆者、趣味はバイクという、ライター界きっての機械マニア。 そんな機械に囲まれた最高の生活を送っているが、そろそろお金と美女にも囲まれたい、バイクには乗れるが時代の波にももっと上手く乗りたい……といった悩みも。 |