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スパッタ装置の価格相場
スパッタ装置の価格相場は300万円~3,000万円程度です。
真空チャンバーの大きさや、カソードの数、また、対応しているターゲット金属の種類により、金額が変わります。一般的に、金や白金に比べ、タングステン対応の装置は高額になります。
スパッタ装置を製造するおすすめメーカー
スパッタ装置を扱う主要メーカーは、30社あります。各社ともに機械の特徴やメリット・デメリットがあります。
テルモセラ・ジャパン株式会社
出典:Thermocera
2010年に東京で創業されたメーカーです。半導体・電子部品などの研究・開発・製造プロセスに必要な要素である「熱」応用製品の販売を基盤としています。
超高温基板加熱ヒーターの開発販売、研究開発実験炉・薄膜実験装置等の企画開発・販売、工業用温度測定・制御機器の販売、その他周辺機器や部品の販売を行っています。
株式会社真空デバイス
出典:真空デバイス
1985年創業の、茨城県水戸市のメーカーです。半導体、バイオ、環境、ナノテク分野の、新技術開発に必要な実験器具・装置の開発を行っています。
また、新技術開発の最先端解析道具としての電子顕微鏡試料作成に関わる装置の開発・製品化・販売・サービスも行っています。
株式会社アルバック
出典:ULVAC
1952年創業で、神奈川県茅ヶ崎市に本社があります。
FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置、半導体製造装置、電子部品製造装置、コンポーネント(真空ポンプ、真空計など)、一般産業用装置(各種真空炉、真空凍結乾燥など)、材料(スパッタリングターゲット材料、高融点活性金属材料など)と、6つの事業領域を持つ真空総合メーカーです。
スパッタ装置の種類
スパッタ装置とは、真空薄膜形成装置です。スパッタ装置とも呼ばれています。
シリコンウエーハー、ガラス、金属材料、電子材料、フィルム、樹脂などのワーク表面に、金属の膜を形成します。
プラズマ放電下でイオン化させたAr(アルゴン)ガスをターゲット(=膜になる金属)に衝突させ、対向する試料(=膜を付着させたいワーク)に付着させて膜を形成します。
真空蒸着法ではコーティング困難な、高融点金属や合金でも、膜の形成が可能です。
スパッタ方式は大きく4つに分けられ、以下のような違いがあります。
①DCスパッタ法
構造が簡単なところが利点です。しかしながら、グロー放電を起こす必要があるため比較的に真空度が低く、残留ガスの影響があります。
また、気体がイオンと電子に分離したプラズマ状態になっているため、試料(ワーク)も高温のプラズマにさらされるところが、デメリットです。
②RFスパッタ法
絶縁物をターゲットとし、交流(高周波)でスパッタリングする方法です。
交流のため、粒子の加速方向は電圧に合わせて変わりますが、導電性の真空チャンバーにも電圧をかけることで、結果的にターゲット側がマイナスにバイアスされ、スパッタリングできます。
③マグネトロンスパッタ法
DCスパッタ法における、試料へのプラズマの影響を低減させた方法です。
ターゲット背面に強力な磁石を設置することで、プラズマをターゲット付近に封じ込めます。スパッタ速度が速く、量も多い反面、ターゲットの減り方にムラができます。
④イオンビームスパッタ法
放電を使用せず、代わりにイオン銃を用いるスパッタ法です。
放電でプラズマを作る必要がないため、高真空中でスパッタ可能となり、不純物が混ざりません。
装置が複雑で高価になる点と、成膜速度が遅い点がデメリットです。
スパッタ装置の選び方
まずは、成膜したい金属の種類により、スパッタ装置が絞り込まれます。
同時に、ワークの大きさから、真空チャンバーのサイズの下限が制限されます。
また、ワークのセット、スパッタリング(真空引きやターゲットの設置など含む)、払い出しについては、装置ごとに、どこまで自動化が可能なのかが違ってきます。その際は、サイクルタイムと作業者の動きに加え、導入コストとランニングコストも考慮する必要があります。
スパッタ装置のまとめ
今回の記事ではスパッタ装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- スパッタ装置とは真空薄膜形成装置。スパッタ装置とも呼ばれる
- 「DC法」や「RF法」「マグネトロン法」など、様々な種類がある
- 主要メーカーは「テルモセラ・ジャパン」を筆頭に、全国に30社ほど
- スパッタ装置の価格相場は、300万円~3,000万円程度
■ 執筆担当者:ネジ山 専用機メーカーで購買、経理、加工、設計を経験し、現在は溶接設備メーカーで、治具や装置を組み立てる副業ライター。タップが折れても、心は折らないように自己研鑽中。 |