蒸着装置のおすすめメーカーと価格相場

蒸着装置のおすすめメーカーと価格相場

2022年10月10日

蒸着装置の価格相場

蒸着装置の価格相場は100万円~1,000万円程度です

小型で蒸着膜形成が目的であれば100~200万円ほどですが、大型でターゲット形状が複雑または多層膜密着型になれば500万円以上。

高真空度の場合や特注などの場合は1,000万円近くの価格帯です。

 

 

蒸着装置の種類

蒸着装置(設備)とは、機器や基盤プレートのコーティング加工で使用する産業用の機械です。

分類としては大きく3つに分けられ、以下のような違いがあります。

①真空蒸着|物理蒸着(PVD):

物理蒸着は「PVD(Physical Vapor Deposition)」とも呼ばれ、熱またはプラズマエネルギーを使用して固体材料を蒸発させ、それを基板などに接着することで薄膜を形成する方法です。

 

とりわけ真空蒸着処理では、蒸着源を加熱し、蒸着した蒸着材料を母材または基板の表面に付着させることにより、薄膜を形成します。

物理蒸着処理は通常、物質を気化しやすくするために真空環境で行われます。

②真空蒸着|化学蒸着(CVD):

化学蒸着は「CVD(Chemical Vapor Deposition)」とも呼ばれ、薄膜となる原料を含むガスを熱、光、プラズマなどのエネルギーで励起・分解し、基板表面に物質を吸着させる方法です。

化学反応を使用して薄膜を形成するのが特徴で、プラズマCVD法とも呼ばれる蒸着技術は半導体製造などでも使用されています。

③スパッタリング法/スタッパ:

スタッパリング法は、プラズマなどで励起された高エネルギーの粒子が材料(ターゲット)と衝突し、真空中で膜状になった材料成分の金属原子が放出されて基板上に堆積し、薄膜を形成させる方式です。

 

薄膜材料はエネルギーが高く、母材に付着するため、真空蒸着法よりも膜の付着性が高いという利点があります。

蒸着装置メーカー各社のメリット・デメリット

蒸着装置を扱う主要メーカーは、3社あります。各社ともに機械の特徴やメリット・デメリットがあります。

北野精機株式会社(KITANO)

北野

出典:KITANO

 

北野精機は、1958年(昭和33年)に精密機器の設計・製造・販売会社として設立されました。

大学・官公庁の研究所をはじめ民間企業の基礎研究所に向けた実験機器の開発・製造を手がけ、その優れた品質と信頼性は高く評価されています。

特に近年、新素材やナノテクノロジー、フラットパネルディスプレー、高温超電導、太陽電池、原子力、宇宙開発など産業分野に必要不可欠な超高真空・極低温技術については、他社に先駆けていち早く取り組み、その実験環境づくりに豊富な技術・ノウハウを蓄積し、高度な性能・機能を凝縮した機器の開発・提供に結び付けています。

同社のCVD装置は、CVD法を用いた薄膜作製装置であり、原料ガス状物質(気体、液体、固体)としてCVD反応室に供給し、気相または基板材料表面において化学反応を起こさせ、所望の薄膜材料を基板上に堆積させる気相反応、表面反応を利用した薄膜作製装置です。原料ガス状物質を化学的に活性させる(励起状態にする)手法として、熱、プラズマ、光(レーザー、紫外線など)があり、各々熱CVD、プラズマCVD、光CVD装置などがあります。

有機ELや半導体などの製造に関わる重要な機械を多く手掛けており、業界の先駆者的立ち位置です。一方、同社のCVD装置の特徴はバッチ式(熱処理と冷却処理が個別)であり、価格が高い点はデメリットといえます。

 

株式会社エイエルエステクノロジー

ALS

出典:ALS

 

エイエルエステクノロジーは創業が2000年と比較的若いメーカーですが、大学の研究室や一般企業の研究開発向けの高精度な装置を製造販売しています。

う蒸着装置は、主に「有機デバイス蒸着装置」「真空エリプソメーター蒸着装置」などを扱っています。

株式会社真空デバイス

真空デバイス

出典:真空デバイス

1985年創業の真空デバイスは、半導体をはじめ、化学分野やナノテク分野などの実験器具・装置開発を行うメーカーです。

各環境下における最適な機器の供給・改良などを得意としているのが特徴です。

 

蒸着装置の選び方

付着手段が蒸着とスパッタリングでは特性が異なります。したがって、設備を選択するときは、最初に両方の長所と短所を完全に理解する必要があります。

 

薄膜蒸着は、金属と非金属の両方を処理できるなど、幅広い用途があると言えます。また、設備や手順がシンプルなため、コストを抑えられます。また、塗装が完了するまでの時間が短く、製品に損傷を与えるリスクがないことも魅力的です。

一方、スパッタは、面積が大きく、形状が平坦で、特異性がある場合に有効なポイントになります。高融点の金属、合金、化合物を原料として使用した場合、薄膜の組成が変化しないため、安定した緻密で強力なコーティングが可能です。

対象物の状態、コスト、処理時間などを総合的に考慮する必要があります。特に真空化技術で、時間、到達真空度、膜均一性、クリーン要求度は重要なチェックポイントです。

蒸着装置のまとめ

今回の記事では蒸着装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。

  • 蒸着装置とは基板などのコーティングで使用する産業用の機器
  • 「CVD」や「PVD」、「スタッパリング」などの方式がある
  • 主要メーカーは、半導体分野などで高い技術力を有する「北野精機」を筆頭に3社ほど
  • 蒸着装置の価格相場は、100万円~数千万円程度と機器性能などにより幅がある