今回の記事では「刻印機」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
▼半導体専用のマーキング装置については以下をご参照ください。
目次
製造現場向け刻印機(マーキング装置)の種類
刻印機とは、製造の工程で使用する産業用の機械で、ワークに文字や数字など、目視できる印をつける機械です。
刻印する内容として代表的なのは「製造年月日」「製造工場」「生産ロット」「ワーク形式」「各種検査の合格印」、そして「バーコード」や「QRコード」などがあり、いずれも製品自体の識別に重要な要素となります。
刻印機は、その刻印方法によって大きく4つに分けられます。
①プレスタイプ
ナンバリングヘッドなどを押しつけ、刻印するタイプです。
刻印する文字や数字は、打刻ヘッドにセットされている打刻印により変更が可能。
押しつける駆動力の違いにより、更に以下のように分類される場合もあります。
- ハンドプレス刻印機
- エアプレス刻印機
完全手動の場合(作業者がハンマーで打ち付けるタイプ)は、厳密には機械ではありませんが、最も簡易なプレスタイプの刻印ともいえます。
②エアペンタイプ
スタイラスと呼ばれる硬質の針で打刻するタイプの刻印機です。
針を連続で打ち付け、文字や数字を表現するため、ドット刻印機とも呼ばれます。
使用する刻印機(機器)により刻印範囲が決まっていますが、刻印する文字や数字は、パソコン側(ドライバーの設定)で任意に設定・変更が可能です。
③レーザマーカタイプ(レーザーマーカータイプ)
ワーク表面をレーザ光で溶かしたり焼いたりすることで、印をつけるタイプの刻印機が、こちらのレーザマーカタイプです。
使用するレーザマーカ(刻印機)により、刻印可能な材質が変わる点は注意が必要ですが、②や④の刻印機と同様に、文字や数字はドライバ側の設定で変更できます。また、レーザーマーカタイプの刻印機では、バーコードやQRコードを刻印できます。
④インクジェットプリンタータイプ
インクを噴射してワークに印をつけるタイプの刻印機です。産業向けのインクジェットプリンターと認識しても構わないでしょう。
他の刻印機とは異なりワーク自体を物理的に傷つけないため、刻印するワークの精度・耐久性などをあまり考慮せずに使用できるのは最大のメリットでしょう。
ただし、インクを定着させられない材質には向かない点やランニングコストとしてインク代がかかる点は注意が必要です。
刻印機メーカー各社のメリット・デメリット
刻印機を扱うメーカーはそれぞれのタイプによって参入している企業・業種が異なります。
今回は、刻印機を専業としているメーカーを1社ご紹介します。
山田マシンツール株式会社
出典:山田マシンツール
1947年に、東京で創業した機械工具専門メーカーです。創業初期より「ナンバリングヘッド」を扱っており、その後、各種刻印機の自社生産などを開始しています。
機械工具はもとより、創業以来取り組んでいる同社のマーキング技術は世界最高水準とも評されており、主に自動車産業をはじめ航空宇宙産業など幅広い分野で使用されています。
刻印機の価格相場
刻印機の価格相場は、タイプによって異なります。以下はあくまでも参考としてください。
- プレスタイプ:数万円~数10万円
- エアペンタイプ:数10万円~
- レーザーマーカ―タイプ:100万円~数100万円
- インクジェットタイプ:数10万円~数100万円
一般的には、プレスタイプ<エアペンタイプ<レーザマーカの順に、機器自体の金額が高額になります。
またインクジェットプリンタタイプは、プリンタヘッドが固定か可動かによって、金額が変わります。
プリンタヘッドが固定であれば、通常エアペンタイプと同程度の金額になります。
プリンタヘッドを、XYの直行ロボットで動かす場合(Z軸はシリンダ)など、設備構造が複雑化すると、その分高額になります。
プレスタイプを複数ワーク対応させる場合、刻印ヘッドとワーク受け治具を、セットで交換式にすることがよくあります。
近接などで、セット治具の確認を行うことで、刻印ヘッドと受け治具のセットミスを防げますが、その分高額になります。
プレスタイプ以外は、機種切り替えボタンなどで複数ワークに対応させます。ワーク受け治具は、治具交換よりも、位置決めとポカ除けで共通治具にする場合が多いです。その場合、上流工程の機種切り替えを有効にすれば、ワーク確認は在籍だけで安価にできます。加えて、ポカヨケも逆セット防止だけでよくなりますが、機種混入による間違いは防げません。
エアペンタイプは、針を連続で打ち付けるため、振動と騒音が発生します。工場の規定以上の音が発生する場合は、刻印部のカバーに集音材を貼り付けるなど、防音対策としてのコストも考慮する必要があります。
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刻印機の選び方
何を刻印したいのかによって、刻印機(設備)のタイプが絞られます。
仮に、検査のOK/NGを視認できるようにするのが目的であれば、シリンダによるポンチだけでも、刻印としての役目を果たします。(※1)
基本的には「刻印したいワークの材質により、刻印機の種別を絞り込む」のが一般的でしょう。
- ワークに傷をつけてはいけない場合=インクジェットプリンタタイプ
- 傷をつけても問題ない場合=プレスタイプまたはエアペンタイプ(※2)
その他、その刻印機を使用したいワークが、単一なのか複数なのかによって、受け治具の大きさやポカヨケの仕様が決まってきます。
場合によっては、固定のポカヨケだけでなく、シリンダでポカヨケピン出退などが必要になります。複数ワークで使用するときは、位置決めとポカヨケ箇所は、あらかじめ検討が必要です。
※1:圧検OKの印として、規定の場所にポンチを打つ場合
※2:ワークに傷をつけるだけなので、刻印とワークが同色であり、目視しにくい場合がある。反面、ワーク表面に凹凸をつけるので、刻印後に塗装やメッキ処理などをしても、刻印が残るというメリットもあります。
刻印機のまとめ
今回の記事では刻印機について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 刻印機とは ワークに文字や数字などを付けるための機械
- プレスタイプやレーザータイプ、インクジェットタイプなど、様々な種類がある
- それぞれのタイプによって主要メーカーは、異なる。刻印機を専業とするメーカーでは山田マシンツールが大手企業
- 刻印機の価格相場はタイプによって異なるが、数10万円~数100万円(+ランニングコストなど)
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