目次
HPLC(高速液体クロマトグラフ)の価格相場
HPLC(高速液体クロマトグラフ)の価格相場は、300万円~2,000万円程度です。
HPCLは、多分野で活用されているために価格帯も広くなっています。分離、分析したい成分やその精度、検体の処理スピードや可能な条件指定などによって値段は大きく変わってきます。
ある一定の成分に絞った分析を行うもので、それ用に製品化されている標準品であれば比較的に安い傾向にありますが、高い精度や処理能力を有するハイスペックな製品ほど高くなる傾向にあります。
HPLC価格のクチコミ
岡山 30代 男性
残留農薬分析のため(LC-MS/MS)に島津製作所の MS ABsciex TQ5500を3,500万で購入しました。国内メーカーであり、全国にエンジニア(メーカーだけではなく他代理店内にも対応できる技術者がいたりする)がいることからサポート体制は良いと思う。
高速液体クロマトグラフの種類
高速液体クロマトグラフとは、様々な物質の成分分析する際に使用する産業用の機械です。ここでは使用分野別に以下の4つを紹介します。
①製薬、医薬、医療分野向けHPLC
体液などの中にどのような成分がどの程度入っているかを調べることが可能であり、違法薬物などを接種していないかなどの検査に用いられることもあります。
また医療薬品の開発では、構造の類似した不純物を分離分析できたり、有効成分の細かな分析が可能であるために特にHPCLが多く使用され貢献している分野になっています。
②食品、飲料分野向けHPLC
HPLCは食品、飲料分野でも多く活用されています。
食品、飲料に残留する農薬、自然界に存在する毒性物質の分析や食品添加物の分析など食の安全を守ることにも活用されているのです。
また安全面以外でも食品、飲料に含まれる旨味成分の分析や発酵食品の発酵過程における成分変化の分析など味や品質の向上にも活用されています。
③化学、工業分野向けHPLC
HPLCは熱に弱い成分であっても構造上問題なく分離、分析が可能です。
そのために、分析のための使用ももちろんされますが、天然成分や化学合成品などを分離することをメインに高純度の成分を生成することなどにも活用されることもあります。
④水質、土壌など環境分野向けのHPLC
HPLCは液状(※)であれば分離、分析可能なため、川や海や土壌などでどのような汚染物質がどの程度含まれているか明確に出来ます。
また、大気や部屋の空気なども溶液化で分離、分析可能なため大気の汚染を調べたり、部屋の中の有害物質の検出に使用されることも多いです。
※試料が固体であっても溶液化で分離、分析が可能であるが、溶液化によって成分が変わってしまうものは向かない点注意が必要
高速液体クロマトグラフメーカー各社のメリット・デメリット
高速液体クロマトグラフを扱う主要メーカーは、約20社あります。その中から、国内シェアの高い2社を機械の特徴やメリット・デメリットと合わせてご紹介します。
株式会社島津製作所(SHIMAZU)
出典:SHIMAZU
1875年創業の様々な機器を制作、販売する老舗メーカーです。特にHPLCを含む計測機器に力を入れており、国内トップシェアを誇っています。
販売は民間業者だけではなく大学や官公庁の研究機関などにも数多く納品しておりその信頼性、技術は確かなもので海外でも販売を伸ばしているメーカーです。
HPLCについても数多くの製品、システムのラインナップがありどのような分野での使用も想定されたラインナップになっています。
株式会社日立ハイテクサイエンス(HHS)
出典:HHS
設立は2000年と歴史は浅く感じるかもしれませんが、歴史ある日立製作所の子会社として分析、計測、観察装置についての事業を行っている会社です。
官公庁や大学などへの納品実績もあり信頼性の高いメーカーです。
しかし、製品ラインナップは多くないため使用用途が限られてしまったり、特定の分野での使用が出来ない場合も考えられます。
高速液体クロマトグラフの選び方
HPLCの選び方としては何を重要視するかによって変わってきます。
- 最上級の性能、精度が必要なのか、
- 精度はそれなりでも安定して安価に使える製品が良いのか。
導入する際に最も重要視する部分をまず決め、その他の仕様面で比較検討するのが良いでしょう。
その他の注意点として、アフタフォローの体制も確認しておきましょう。
HPLCは様々な構成部品から成り立っており、消耗品やメンテナンス費用、その他データ処理用のソフト更新などシステム面のフォローも重要です。メーカーによって保守契約の内容も様々なので、製品自体のスペックとともに、保守内容も比較検討するのをおすすめします。
高速液体クロマトグラフのまとめ
今回の記事では高速液体クロマトグラフについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 高速液体クロマトグラフとは 物質の成分分析に用いられる機械
- 医療、食品、産業・工業、環境分野など幅広い分野で使用されている
- 主要メーカーは、20社ほどあるが、大手では島津製作所やHITACHIなどが有名である
- 高速液体クロマトグラフの価格相場は、300万円から2,000万円程度
- 重要視するスペックや保守などから多角的に判断し導入する必要がある
■執筆担当者:KenOs 昼は自動車整備士、夜は覆面の執筆者、趣味はバイクという、ライター界きっての機械マニア。 そんな機械に囲まれた最高の生活を送っているが、そろそろお金と美女にも囲まれたい、バイクには乗れるが時代の波にももっと上手く乗りたい……といった悩みも。 |