今回の記事では「縦型成形設備」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
縦型成形設備 の種類
縦型成形設備とは、樹脂成型工程で使用する産業用の機械です。分類としては大きく3つに別けられ、以下のような違いがあります。
縦型インサート成型
インサート成形は、プラスチック射出成形の成形方法の1つ。インサート製品（金属など）と樹脂を組み合わせた成形品を作成する成形方法を指します。
インサート製品を金型にセットし樹脂を充填することで、各製品が一体成形品になります。
一般的には自動車関連部品などの金属端子や樹脂部品を必要とするコネクタなどの精密部品に使用されています。
また成形品にデザインを与えるために、金型内に装飾フィルムをセットし、樹脂を重視したフィルムインサート成形などの金属以外の材料で成形する場合があります。
インサート成形では、インサート製品を金型にセットするため、縦型成形機がよく使用されます。
縦型ロータリー成形
縦型射出成形機は主にロータリー（回転台）に使用されますが、回転台に複数の金型を取り付け、回転台を順番に回転させて樹脂の出し入れを行います。
生産性を高めるために、並行して実行されます。 そのために、以下の構造の回転台を備えた成形機があります。
- 複数の「下型」のみをテーブルに取り付け、1つの「上型」と組み合わせて型を形成する装置（モールドオープン/ロータリータイプ）。
- テーブルに「下型と上型」を複数セット取り付け、成形品を取り出し、挿入時のみ型を開き、その他を閉じて回転させます。
縦型ブロー成型
ブロー成形は、ペットボトルやパイプなどの中空製品を製造するために使用される技術です。
まず、機械でペレットを溶かしてパイプを作ります。このパイプ状の樹脂を型の間に挟み、空気を吹き込んで膨張させます。
その後、外型に押し付けて形を作り、冷却して中空製品にします。
縦型成形設備メーカー各社のメリット・デメリット
縦型成形設備を扱う主要メーカーは、3社あります。各社ともに機械の特徴やメリット・デメリットがあります。
田端機械工業株式会社
出典：田端機械工業
田端機械工業株式会社は1954年の創業以来、独自の技術を駆使した受注生産により、プラスチック樹脂関連の各種加工機械・設備の製造・販売を一貫して行っています。
一般的なプラスチック材料に加えて、PTFE（テトラフルオロエチレン樹脂）関連の機械設備において、日本ではトップクラスの技術とシェアを誇っているのが特徴です。
また、プラスチック加工後処理として、固定樹脂除去洗浄装置（CLEAN SHOT）やVOC（揮発性有機ガス）用排気ガス処理装置（DEOCAT）など、製品分野を拡大。
接着剤ポリマー洗浄・除去装置の開発・販売や小型触媒燃焼式脱臭装置、医療用ペトリ皿殺菌減容装置の開発・販売に強みを持っています。
市場のニーズ・要望としては、本来の樹脂成型のハードやソフト技術にも力を注いでほしい点でしょう。
株式会社松田製作所
出典：松田製作所
1925年創業の松田製作所は、自社ニーズに合った装置を選べる豊富なラインナップを揃えている点が強みです。
硬質ゴム用射出成形機「VI-P（SJ）シリーズ」をはじめ、コストパフォーマンスを追求した高性能射出成形機を得意としています。
成形機構ではラム径が大きく、均一な金型加圧が可能。また安定した形状が得られ、垂直方向に成形するため、下型からの成形品の取り出しが容易などの特長を持っています。
一方、縦型成型機では特有の技術を有しているものの、実際の商品や顧客ニーズでは横型との連携を要求されており、それらへの対応を強く求められています。
株式会社山城精機製作所
出典：山城精機製作所
山城精機製作所は1956年創業の成型装置メーカーです。
コンパクト全電動縦型ロータリー射出成形機「VER15-S15EV」を主力としており、回転台を標準装備（金型交換が容易）な点や、多品種少量生産に効果的という点が特長です。
タイバーレス構造を採用しており、同じ機械で多種多様な成形が可能。コンパクトな全電気式縦型ロータリー射出成形機を得意としています。
またインラインスクリュー方式を採用しているため、コンパクトで省スペースであり、設置面積なども20％削減（同社比）しています。
射出圧力・速度の波形やカーソル部の波形情報を表示できる成形機用の新コントローラを搭載するなど、現場のニーズに沿った装置を製造しています。
縦型成形設備の価格相場
縦型成形設備の価格相場は1500万円～3,000万円程度です。
「小型、テスト機、単一機能狙い」は1500万円～2,000万円程度、「マルチ機能化、大型、複雑化」は2500万円～3,000万円程度です。
メンテナンスやレイアウトなどの特殊発注になると、さらに500万円ほどコストが上乗せされます。
縦型成形設備の選び方
どんな商品をターゲットにするのかが一番重要な要素ですが、以下も同時に考慮しましょう。
- 量産型なのか
- 精度を求めるのか
- 切り替えやメンテナンスの迅速さ
- ペレット選定の容易さ
- レイアウト面積
- 分解清掃のしやすさ
これらを含め、1分または時間当たりの生産量・原価計算による利益バランスを加味して、実際にデリバリー可能かを検討し導入するのが一般的です。
縦型成形設備のまとめ
今回の記事では縦型成形設備について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 縦型成形設備とは 樹脂成型加工の工程で使用される産業用の機械
- 「縦型インサート」「縦型ロータリー」「縦型ブロー」など、様々な分類がある
- 縦型成型設備・装置の主要メーカーは「田端機械工業」「松田製作所」「山城精機製作所」など
- 縦型成形設備の価格相場は1500万円～3,000万円程度
- 自社の商品ターゲット以外に、生産性や精度などを考慮して導入するのが一般的
