金属3Dプリンターの価格相場とおすすめメーカー|導入費用をまかなえるかがポイント

金属3Dプリンターの価格相場とおすすめメーカー|導入費用をまかなえるかがポイント

2022年11月16日

金属3Dプリンターの、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。

 

金属3Dプリンタの価格相場

金属3Dプリンタの価格相場は数千万円~数億円です

 

金属3Dプリンタの値段を決めるのは造形出来る大きさと機器の造形方法で決まってきます。造形出来るものが大きいもの程値段は高くなっていきます。

造形方法と価格帯は以下の通りです。

  • パウダーヘッド方式金属3Dプリンタでは3,000万円程度から2億円程度
  • メタルデポジション方式金属3Dプリンタ(指向性エネルギー体積法)では2,500万円程度から3億円程度
  • FDM方式金属3Dプリンタ(ADAM方式)では1,000万円から5,000万円程度
  • バインダージェット方式金属3Dプリンタでは3,000万円から1億円程度
  • 超音速堆積方式金属3Dプリンタと液体金属堆積方式金属3Dプリンタについては製品がまだ少なく情報が少ないですが5,000万円程度から数億円程度

 

マシニングセンターの価格との比較

金属を削り出すマシニングセンターであれば高額なものでも1億円を越えるケースは少なく、近いワークサイズの金属3Dプリンターと比較すると、マシニングセンターの導入コストの方が3~5割ほど安価に収まるケースが多いです。

従って、金属3Dプリンターを検討する前にマシニングセンターで製造が出来ないかを調査することをおすすめします。

また、3Dプリンターであればどんな形でも再現可能だと想像してしまいますが、形状によっては再現できないケースもあるという点に注意が必要です。

 

金属3Dプリンター価格のクチコミ

価格のクチコミ 広島 40代 男性
MarkforgedのMETAL Xを2,000万円で購入しました。

価格のクチコミ 埼玉 40代 男性
3D SystemsのProX300Markforgedを1,500万円で購入しました。

 

金属3Dプリンタの種類

金属3Dプリンタとは、3Dデータを金属で造形する工程で使用する産業用の機械です。

多くの種類がある金属3Dプリンターですが、今回は代表的な6種類をご紹介します。

①パウダーヘッド方式金属3Dプリンタ

金属3Dプリンターとして現在最も普及しており、製品の選択肢も多いのがパウダーベッド方式です。細かな金属の粉末を敷き詰めたところにレーザーや電子ビームを照射し造形部分の金属のみを溶かして固めていく仕組みです。

精度が高いというメリットがありますが、造形の大きさが限られるという点や造形に時間がかかるというデメリットもあります。

②メタルデポジション方式金属3Dプリンタ(指向性エネルギー体積法)

金属を溶解し所定の位置に堆積させていくことで任意の形に造形していく方法で、DEDと呼ばれます。

金属粉末をノズルから噴射しつつレーザー照射することで金属粉末を溶解堆積させる方法の「レーザー方式」金属ワイヤーをアーク放電により溶解し所定の位置に堆積させていく溶接と同じ原理の「アーク溶接方式」の2種類があります。

パウダー方式と比べ高速での造形が可能ですが、造形可能な形状が限られることや造形精度が劣るというデメリットもあります。

③FDM方式金属3Dプリンタ

熱可塑性樹脂の結合剤(バインダー)に金属粉末を混ぜた材料を押し出し堆積させていき造形していく方式で、アメリカのストラタシス社が開発しました。

堆積させただけでは完成ではなく、結合剤を専用の溶剤に漬け込み溶かして取り除く脱脂を行い、炉に入れて焼き固める焼結を行うことで初めて完成となります。

他の金属3Dプリンタに比べて手順は多いですが、本体が他のものと比べて安いというメリットがあります。但し燃焼と脱脂を通して収縮するため金属の密度も若干低くなり、精度・強度はパウダーベッド方式と比較すると劣ることがあります。

FDM方式の金属3Dプリンタを扱っているメーカー自体が現在ではあまり多くないので、今後の普及に期待しましょう。

 

④バインダージェット方式金属3Dプリンタ

細かな金属粉末を敷き詰めたところに結合剤を所定の位置に噴射することで固めて造形を行う方式です。

造形速度は比較的早いというメリットがありますが、FDM方式と同じく脱脂、焼結を行う必要があるため完成までの手順は多くなります。また、密度がやや低くなるので強度面でもやや不安が出ます。

⑤超音速堆積方式金属3Dプリンタ

金属粉末を空気と共に音速の3倍に加速させぶつけることにより金属を結合させ造形していく方式です。

造形速度は非常に早く全ての方式の中で一番であり、今まで使用出来なかった金属にも対応出来るというメリットがありますが、現在オーストラリアのSPEE3D社でしか取り扱われていません。

⑥液体金属堆積方式金属3Dプリンタ

液体状になった金属を吹付け堆積させるとともに加熱し粒子を結合していき造形していく方式です。

この粒子の大きさは1ミクロンの10分の1の大きさであるサブミクロンで堆積していくため造形精度がとても高く、非常に滑らかな仕上がりになるのが特徴です。

金属3Dプリンタを製造するおすすめメーカー

 

Desktop Metal社(デスクトップメタル)

DM

出典:丸紅情報システムズ

2015年創業のアメリカの金属3Dプリンタを専門に作成、販売するメーカーです。

グーグルやアメリカ海軍などとの取引実績もあるメーカーであり、歴史自体は浅いものの技術力・信頼性は確かです。

金属3Dプリンタは価格も高額ですが、こちらのメーカーは新法式を提供することで価格を抑え導入が拡大している急速な成長をしているメーカーです。

日本では丸紅情報システムズが同社の正規販売代理店です。

 

Markforged(マークフォージド)

Markforged

出典:日本3Dプリンター

2013年創業の3Dプリンタの製造、販売をするメーカーです。世界で唯一カーボンファイバー対応の3Dプリンタを開発したメーカーであり技術力も高いです。

納入実績も航空宇宙産業や各有名企業など非常に多く、誰でも知っているようなメーカーが名を連ねています。金属3Dプリンタについても複数の製品ラインナップがあり、様々な材質、使用用途に対応できるラインナップになっています。

2020年には日本国内での3Dプリンタ販売数が1位になっています。日本では日本3Dプリンターが同社の正規販売店として機能しています。

 

Markforged製金属3Dプリンターのクチコミ

価格のクチコミ 広島 40代 男性
Markforged、METAL Xを配管などの加工や破損した金属を修復するために利用しています。小型であっても比較的大きなサイズまで造形ができ利便性が高いですし、購入した後にも定期的にメンテナンスやアドバイスをしてもらえているので助かっています。

 

3D Systems

 

出典:3D SYSTEMS

1986年に創業した世界初の3Dプリンタ専業メーカーです。こちらのメーカーも航空宇宙関連、自動車関連、半導体関連などとても広い分野で使用されているメーカーです。

各分野とも非常に深く結び付きがあり、各産業への対応歴が長く信頼性、技術力、知識力はトップクラスのメーカーといえます。金属3Dプリンタについても複数あり様々な用途に使用出来るラインナップになっています。

 

3D Systems製金属3Dプリンターのクチコミ

価格のクチコミ 埼玉 40代 男性
3D SystemsのProX300Markforgedを金属製機械部品製造のために導入しました。価格はやはり高かったもののアフターサービスもしっかりしていて作業効率が上がったので総合的に見て社にとって有用な機械になっています。

 

stratasys(ストラタシス)

比較的安価なFDM方式の3Dプリンターを世界で最初に開発したメーカーです。金属3Dプリンターとしては未だ発売していませんが、金属に近いレベルの強度を持った樹脂で成形することが出来ます。

 

 

ニデックマシンツール株式会社

日本電産のグループ企業です。パウダーDED方式とバインダージェット方式の機種を用意していますが、バインダージェット方式についてはMarkforged社の製品を代理販売しています。

パウダーDED方式の機種は4つ用意されていますが、基本的には1億円を越えると価格帯になっています。

ニデックマシンツール金属3Dプリンター

導入前には金属3Dプリンターを使った有料での試作サービスも実施しています。

 

金属3Dプリンタの選び方

金属3Dプリンタの選定で重要となってくるのは造形精度、造形出来る大きさ、造形スピードそして価格になってくるでしょう。

まずは必要な精度、大きさ、スピードで希望に合う製品を絞っていきましょう。しかし、金属3Dプリンタは上記を読んで頂けたら分かるように高額な製品です。

妥協できる要素はないのかもう少し安い製品でも対応できるのではないかも吟味してみることも必要です。
また、金属3Dプリンタは海外メーカーのものが多く、日本には会社がなく代理店を通しての購入になる場合も多いです。

同じ製品を購入するにあたっても、代理店によって価格が違ったりアフターサービスの差があったりすることもあります。そのため代理店の選定も製品の購入時の大事な要素となります。

金属3Dプリンタのまとめ

今回の記事では金属3Dプリンタについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。

  • 金属3Dプリンタとは3Dデーターを元にして金属造形をおこなう産業用の機器
  • 「パウンダーヘッド方式」や「メタルデポジション方式」「FDM方式」など、様々な種類がある
  • 主要メーカーはアメリカの「デスクトップメタル」を筆頭に3社ほど
  • 金属3Dプリンタの価格相場は、数千万円~数億円程度(方式や造形サイズなどによりさまざま)