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ガスクロマトグラフィーの価格相場
ガスクロマトグラフィーの価格相場は数百万円~数千万円程度です。ガスクロマトグラフィーの値段を決めるのはどのような試料を測定したいか?によって大きく値段が変わります。
それは検出器をはじめ様々な部品がそれによって変わってくるからです。既成製品として売られているものであっても、部品の選定は必須になります。
そのため汎用品のようなものであっても数百万円、専門的な研究機関で使うようなものになると数千万円になることも珍しくなです。
ガスクロマトグラフィーの種類
ガスクロマトグラフィーとは、気体、液体の試料の成分分析をする工程で使用する産業用の機械です。
ガスクロマトグラフィーの主な構成部品は大きく5つに分けられます。
キャリアガス流量制御部
移動相の役割を持つキャリアガス(キャリアーガス)の流量を制御する部分です。主に使用されるガスはHeガスでその圧力、流量を一定に排出する役割を持っています。
試料導入部
試料をカラムに導入する部分です。ガスクロマトグラフィーにおいて試料の測定を行うには試料が気体の状態でなければなりません。そのため試料を温度管理し、気化させる「試料気化室」の機能を兼ね備えているものが現在ではほとんどです。
分離部(カラム)
試料内の分離を実際に行う部分です。試料内の化合物がカラム内の充填材によって流れる速度が変化し検出器へと到着する時間の差を生じさせることで試料内の化合物の成分ごとの分離とその濃度を測定することが可能になります。
- 充填カラム(バックドカラム)ガラスやステンレスの管に固定相を含侵または塗布した物質、吸着剤を充填したもの
- キャピラリーカラム細い管の内面に固定相または吸着剤を塗布または結合させたものの大きく2種類に分けられます。
この2つの中にも長さや内径、固定相、吸着剤などの違いから数多くのカラムが存在しており試料によって使い分けられます。現在では分析速度などが優れているキャピラリーカラムが主流になっています。
検出器
カラムで分離された成分を検出しデータ処理部に電気信号で送る部分です。
- TCD:熱伝導度検出器検出器内の熱したフィラメントを試料内の化合物が通過した時の温度変化を検出します。こちらの方式は試料の破壊もなく他の検出器と直列に設置し、併用も可能です。主に無機ガスやFIDで検出できない化合物などで使用されます。
- FID:水素炎イオン化検出器有機化合物を空気と水素で形成された水素炎中で燃焼させ、炭素を酸化、イオン化反応を引き起こさせます。そのイオンを電極で静電捕集した時の電流の変化を検出します。有機物中の炭素がイオン化しますので、炭素に水素以外が結合していると測定精度が落ちるというデメリットがあります。しかし、測定物に炭素が含まれていれば検出は可能なため幅広い分野で使用されています。
- FPD:炎光光度検出器水素炎の中で発光する元素特有の光をフィルターに透過させ検出します。硫黄化合物、リン化合物、錫化合物の検出のみが可能な検出器です。
など多種多様な検出器が存在し試料によって使い分けられます。メーター独自の技術を用いたものや一定の化合物にのみ対応したものなど、種類が多く検出したいものによって検出器の選定はとても重要になってきます。
データ処理部
検出器から送られてきた電気信号を専用のソフトウェアで分析し出力する部分です。
基本的にソフトウェア専用のものになっており、メーカーごとや機器ごとに必要となってきます。
ガスクロマトグラフィーを製造するおすすめメーカー
ガスクロマトグラフィーを扱う主要メーカーは、5社あります。その中でもおすすめのメーカーを4社ご紹介します。
島津製作所(SHIMAZU)ガスクロ国内トップシェア
出典:SHIMAZU
1875年創業の様々な機器を制作、販売する老舗メーカーです。
特にガスクロマトグラフィーを含む計測機器に力を入れており、国内トップシェアを誇っています。価格帯としては、低価格なものから高価格なものまで幅広く揃えています。
メンテナンスは商社任せではなく、島津製作所のグループ会社である島津アクセスが一手に引き受けているので、地方のユーザでも安心です。島津アクセスは北海道から沖縄まで39拠点を抱えていますが、ほぼ全拠点でガスクロの保守に対応しています。
日本電子株式会社(JEOL)
出典:JEOL
1949年創業の老舗の理化学機器、産業機器、医療機器などの製造、販売、開発を行うメーカーです。
数多くの教育機関、研究機関、医療機関に納入実績があり技術も非常に高くなっています。
また拠点も国内だけではなく海外にも20を超える拠点があり、信頼の証といえるでしょう。
1963年にはクロマトグラフを完成させており、ガスクロマトグラフについても複数の製品を取り揃えています。
株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ(JSL)
出典:JSL
2001年創業のガスクロマトグラフをメインに各種評価装置などの開発、販売を行うメーカーです。まだまだ歴史は浅い会社ではありますがガスクロマトグラフを一番の売りにしているメーカーです。
非常に多くの製品、関連部品を取り扱っており、様々な分野での活用できるラインナップをそろえています。
関連会社も多く、日本各地に拠点のある会社となっています。短期間で成長が早いメーカーであり今後の発展が期待されるメーカーです。
アジレント・テクノロジー株式会社
米国本社の企業で、ガスクロを始めとした研究開発に関わる機器を製造しています。ガスクロメーカーの中では高価格帯のラインナップです。
ガスクロマトグラフの選び方
ガスクロマトグラフの選び方としてはどのようなものの測定をしたいか?を、まずは明確にしましょう。
ガスクロマトグラフは部品の選定の多い機器です。しかし部品の選定を行うのは知識が必要なことであるため信頼出来るメーカーをまずは選び明確にした使用方法を元に相談しながら製品、部品を選んでいくのが失敗のない選び方であるでしょう。
またクロマトグラフは買って終わりではなく消耗部品が数多く存在するため、アフターサービスに定評のあるメーカー、消耗部品のコストなども考えてメーカー、製品を選ぶことが大切になってくるでしょう。
ガスクロマトグラフのまとめ
今回の記事ではガスクロマトグラフについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- ガスクロマトグラフとは気体、液体の試料の成分分析に使用される機械
- 主要メーカーは「島津製作所」を筆頭に3社ほど
- ガスクロマトグラフの価格相場は、数百万円~数千万円程度
■執筆担当者:KenOs 昼は自動車整備士、夜は覆面の執筆者、趣味はバイクという、ライター界きっての機械マニア。そんな機械に囲まれた最高の生活を送っているが、そろそろお金と美女にも囲まれたい、バイクには乗れるが時代の波にももっと上手く乗りたい……といった悩みも。 |