今回の記事では「異材質同時成形機」の特徴やおすすめメーカー、価格相場について紹介します。
目次
異材質同時成形機 の種類
異材質同時成形機とは、樹脂成型加工で使用する産業用の機械です。分類としては大きく3つに分けられ、以下のような違いがあります。
シリコーンゴムと樹脂の異材質同時成形機(分類1):
シリコーンゴムと樹脂の異材質同時成形機では、すべての樹脂(硬質プラスチックと繊維)を一体成形できるわけではありません。
シリコーンゴム成形金型に樹脂を挿入するため、樹脂自体の耐熱性が求められます。
また、スーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれる高性能プラスチックの中には耐熱性があるものもありますが、表面改質処理やプライマー処理を行っても密着性が悪く、シリコーンと一体成形することができないので一部の樹脂材料は適切ではありません。
シリコーンゴムと金属の異材質同時成形機(分類2):
シリコーンゴムと金属の異材質同時成形機では、工業用途で使用されるステンレス鋼、アルミニウム材料などと一体成形することができます。
この場合、材料だけでなく、重量、体積、安全性、価格などを考慮し、耐熱性に問題はなくても一体成形時の化学反応により安全性を損なうときは成形できません。
インサート異材質同時一体成形機(分類3):
インサート異材質同時成形機は、本体である樹脂を射出する前に、あらかじめインサート部品を金型にセットし、射出成形してインサート部品の周囲に樹脂を充填します。
これにより、インサート部品を本体に埋め込んで一体成形することができます。
インサート異材質同時成形機では、一般的な射出成形とは異なり、樹脂を射出するたびにインサート部品を金型にセットする必要があります。
小ロットから中ロットでは、インサート部品のほとんどが人為的なものであり、1人の作業者が1台の成形機で作業するのが一般的です。
大ロットの場合は、パーツフィーダーやロボットアームを使用して無人で設置します。
異材質同時成形機メーカー各社の特徴
異材質同時成形機を扱う主要メーカーは、約30社ありますが中でも成形機を中心に扱っているメーカーを1社ご紹介します。
日精樹脂工業株式会社
出典:NISSEI
1947年に創業した射出成形機専業のメーカーです。自社で機器本体および金型、成形自動システム、計測機器等を開発し、製造販売を行っています。
メーカーとしては上場しており企業規模も大手です。商品ラインアップが非常に多い点も特徴です。
株式会社ソディック
出典:Sodick
1971年創業と比較的歴史の浅いメーカーですが、取り扱う商品は射出成型機をはじめとした産業機器や、その他工作機器、食品機器など他業種に参入しています。
菱屋精工株式会社
出典:HISHIYA
1959年に創業したプラスチック射出成形機の専業メーカーです。
先に紹介した日精やソディックに比べると企業規模自体は小さいものの、ユーザービリティの高い製品を製造販売しているのが特徴です。
異材質同時成形機の価格相場
異材質同時成形機の価格相場は2500万円~3500万円程度です。
普通の成形機と大きく異なる点は、相手素材が異材質の線状または板状であるため、樹脂進展経路の距離や経路が難しい点です。
この付近の技術を自動化したり、モニター化すると、価格帯は想定値より高くなる可能性があります。
異材質同時成形機の選び方
カメラや医療用など精密分野で使用する場合は、スクリューの回転速度を手動で調整できるか?が重要です。
これは樹脂の溶融温度や状態のコントロールが自動では難しいため。
基本的には、実機での検証によって成型品の形状や接合部のかみ合わせなどが仕様要件を満たすかを確認する必要があるでしょう。
異材質同時成形機のまとめ
今回の記事では異材質同時成型機について紹介しました。簡単にまとめます。
- 異材質同時成形機は、異なる材質同士を一体成型する機械
- シリコンゴムと樹脂、またはシリコンゴムと金属などを同時成形することができる
- 成形品を使用する分野によっては微細な精度が求められるため、機器選定時の事前検証などが重要
- 想定価格は2500万円から3500万円程度