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半導体ダイボンディング装置の価格相場
半導体ダイボンディング装置の価格相場は2500万円~5,000万円程度です。
価格はダイボンド工法がどこまでできるかで、価格が決まります。
ダイボンドの工法をどこまでオプションで取り入れるか?
すべての工法に対応できるタイプを導入するか?など様々な選択肢がありますが、工法に広く対応している機器ほど高額となります。
銀ペースト専用とすれば、一番安価な機器を導入可能です。
半導体ダイボンディング装置おすすめメーカー
半導体ダイボンディング装置を扱う主要メーカーは、現状4社程度です。20年ほど前は日本メーカーを中心に10社程度ありましたが、近年はウエハサイズの大口径化(300mm)、チップの薄型化、専用機型から汎用機、さらにスタックドCSPの増加によるテープ方式が増えてきたため、対応可能な主要メーカーは絞られてきました。
BESI(ESECシリーズ)
出典:BESI
1980年頃創業のスイスの老舗半導体ダイボンディング装置メーカーが、ESECです。
このESECを、オランダの企業BESI社(BE Semiconductor Industries)が扱っており、日本では同社からの購入が一般的です。
世界シェアは60%程度で、日本国内のシェア率も30%以上となっています。
ESEC2100シリーズは、エポキシ樹脂タイプとスタックダイボンドの2タイプを基本としており、大口径、高精度、低荷重がコントロールできるタイプです。
ESEC2100DSは、半田ダイボンドにも対応でき、ダイボンドのすべての製法に対応できるのが強味です。
シェアはこの10年で1位となっていますが、海外製という点からも日本製にくらべて価格が高いのが特徴です。
同社の機器をおすすめできる分野としては、通常の先端半導体です。ただし電気自動車用の金などの金属接合のスクラブするボンダには対応していません。
ASM
出典:ASM
オランダのASMグループの創業は50年前ですが、日本に本格的に参入してきたのは、約20年前です。1980年代に日本に生産工場を設けています。
現在の日本国内シェアは22%程度。エポキシ樹脂、半田ダイボンド、テープスタックなどの複数の方式に1台で対応できる点が強みです。
またオプションにてフリップチップにも対応できる万能タイプでもあります。
年間2000台の出荷実績をもっている点など信頼と実績も申し分なし。ただし、強いて弱みをあげるとすれば機器自体が高価という点でしょう。
FASFORD(ファスフォードテクノロジ)
出典:FASFORD
2015年に創業した日本メーカーです。ダイボンディング装置に特化した企業で、全体のシェアは10%以上。
薄型チップの多層ダイボンドを得意としており、この点においては強みといえます。
ただし、スタックドCSPのダイボンド(テープ工法)と樹種ダイボンド以外の工法は準備がないなどの弱みも持っています。
半導体ダイボンディング装置 の種類
半導体ダイボンディング装置とは、半導体の製造工程(ダイボンド工程)で使用する産業用の機械です。
ダイボンドとは、ダイシング工程で分割されたチップ(半導体素子)をリードフレームや多層基板のチップ搭載部分に、接合材や接着剤で固定するプロセスです。
このプロセス以外に、フリップチップボンディング方式も増えてきています。チップの電極とパッケージ基板上の電極を向かいあわせにし、バンプを介して接続する方式です。
現状はダイボンド方式が70%、フリップチップ方式が30%程度の比率となっています。このダイボンディング装置のおすすめについてはダイボンド方式の装置について紹介します。
大分類としては上記で記載のダイボンド方式とフリップチップ方式があり、ダイボンド方式は大きく以下の3つの分類に分けられます。
銀ペースト樹脂による接合
銀ペースト樹脂でダイボンドするもので、全体の80%を占めています。
主に銀の粒子とエポキシ樹脂を混ぜたものを、リードフレームや基板上にあらかじめ塗布して、チップをその上にダイボンドし、熱を加えることで、素子とリードフレームを固着し銀が導電性をもつものです。
半田箔による溶融接合
半田箔を切断して、リードフレーム上にダイボンド前で貼りつけ溶融接合するもので、全体の15%ぐらいの割合ですが、銀の放熱性もあがっており、通常のダイボンド装置は、(分類1)がほとんどとなっています。
テープによる接合
ダイボンド材にテープを持いる方式です。
近年、チップ上に、さらにチップを2枚~3枚積層してダイボングする「スタックドCSP」が増えてきています。
システムLSIの上にフラッシュメモリを載せて、ワイヤボンドすることで一つのパッケージにて、複合機能をもたせ、高密実装が可能となり、この生産比率が、電子機器の小型化高機能化のため、生産比率が増えてきています。10年前には量産はできなかった、新しいダイボンド工法です。装置は高精度で低荷重にてダイボンドが必要です。
半導体ダイボンディング装置の選び方
半導体の製造ラインは、20年前は国内で製造されていました。しかし10年ほど前から(特に半導体製造の後工程)は、海外への委託生産が主になり、日本国内では設計や先端の実装方法などを研究するなど「ファブレス」となっています。
前工程(ウエハ工程)の先端ラインであるTSMC社などが台湾にでき、これに合わせて後工程も台湾などでラインを組むようになっています。
海外生産が主となったため、英語表示のダイボンディング装置が必要となり、先端品が多ければ多いほど様々なオプションのあるダイボンディング装置が選ばれます。
基本的には、生産ラインの工法が一つしかないものは、専用で使用できるものを選びます。
顧客の要求によって様々な工法を準備しなくてはならな製造ラインには、オプションの多い装置を選びます。
昨今は「半導体不足」と言われるようになり、半導体の製造においては国内回帰の動きもあります。これにより装置メーカーのランキングなどは目まぐるしく変動することでしょう。
今回の記事では最新版をお届けしていますが、大きな変動が確認でき次第最新情報をお伝えします。
半導体ダイボンディング装置のまとめ
今回の記事では半導体ダイボンディング装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 半導体ダイボンディング装置とは 半導体製造後工程のダイボンド工程で使用される機械
- 半導体ダイボンディングには大前提として「ダイボンディング方式」「フリップチップボンディング方式」の2種がある。今回の記事では前者について紹介している
- ダイボンディング方式にも、銀ペーストを使用するものから半田、テープなどを使用する方法まで様々
- 生産ラインが海外に以降しており、国外メーカーが強い。日本企業ではFASFORDが有名
- 半導体ダイボンディング装置の価格相場は2500万円~5,000万円程度
- 専用ラインを組むのか、汎用ラインを組むのかで、導入する機器が異なる。対応する工法が多いほど機器の価格は高額となるのが一般的