今回の記事では「半導体レーザーマーキング装置」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
半導体レーザーマーキング装置の種類
半導体レーザーマーキング装置とは、半導体製造におけるマーキング工程で使用される産業用の機器です。
本工程は、半導体製造工程(後工程)の中でも最終工程です。
このマーキング工程とは、モールド樹脂によって完成品化した半導体製品に商品名や型番、シリアルナンバーなどの印を付けること。これらの印によって、製品・部品の管理・追跡をおこなえるだけでなく、顧客や製造元にて管理する際の識別にも使用されます。
従来はインクによるマーキングが行われていましたが、消えたり掠れるなどの問題があり、近年は下記の分類によるレーザーマーキングが行われています。
①CO2ガスレーザー(炭酸ガスレーザー)方式:
CO2 レーザーは、CO2 ガスを媒質としたレーザーです。CO2 ガスを封入した管の中に放電を発生させるための電極板が配置されています。
電極板 には励起源である高周波電力が投入できるよう、外部から電気的に接続されています。
電極間で放電することでガス中にプラズマが発生し、CO2分子が励起状態に変化することでレーザーが放出されます。
このレーザーはハイパワー且つ高速処理が可能なため、生産性が高いのが特徴です。また300mmサイズ程度までの広範囲にわたってレーザー印字が行える点がメリットです。
②ファイバーレーザー方式:
ファイバーレーザーとは、長距離通信の中継増幅技術が高出力レーザーに発展したもので、ファイバーを媒質として使用しています。
いわゆる光ファイバーは、中心に光が伝搬するコアとコアを同心円状に覆うクラッドで構成されています。
ファイバーレーザーはそのコアをレーザー媒質として光を増幅するために、コアには Yb (Ytteribum、イッテルビウム)が添加されています。
③UVレーザー方式:
基本波長(1,064 nm)の1/3 の波長で紫外線領域のレーザーのため、UVレーザーと呼ばれます。
またTHG(Third Harmonic Generation: 第3高調波)レーザとも呼ばれています。
基本波長を非線形結晶を通過させることで変換し、532 nmの波長へと基本波長を合わせます。さらにもう一つの単結晶を通過させることで、355nmの波長へと変換。
各素材に対しての吸収率が非常に高く、熱ストレスをかけない印字や加工が可能です。
このような特性から、UVレーザー方式のマーキングを、「Cold Marking(コールド・マーキング)」とも故障します。
半導体レーザーマーキング装置メーカー各社のメリット・デメリット
半導体レーザーマーキング装置を扱う主要メーカーは、約10社あります。その中から、量産対応と高性能タイプを保有するメーカーを3社ほどご紹介します。
ビデオジェット株式会社(VIDEOJET)
出典:VIDEOJET
1960 年代に A.B. Dick Company の一部門として設立。以来、今日にいたるまで同社は 44 年以上にわたって質の高いマーキングおよび印字機器と消耗品の技術革新、開発、製造および販売を行っています。
CO2レーザー・高機能モデル 最高印字速度:2,100 文字/秒・標準モデル;最高印字速度:1,300 文字/秒 UVレーザー:最高5.0m/秒で高品質で可読性の高い二次元コードを印字可能
株式会社日立産機システム(HITACHI)
出典:HITACHI
2002年に創業。産業機械を製造販売し、CO2レーザーの高機能モデルを販売しています。
同社製品は、毎秒600文字の高速印字が可能なため、印字時間の大幅な短縮を実現。これにより静止している印字対象物はもちろん、生産ライン上を高速で移動する印字対象物でも印字が可能です。
ブラザーインダストリアルプリンティング株式会社(brother)
出典:brother
元々は産業用インクジェットを主としたメーカーで、源流となっているのは1858年創業のアダムソン商会。
社名や体制を変えながら2019年にミシン・プリンターメーカーであるブラザーの傘下企業となりました。
その後は、合流前(合併前の名称はコーンズドッドウェルコーディング)に扱っていた自社のマーキング機器を輸入販売しています。同社は、全レーザー種類の品揃えを誇っており選択肢が豊富な点に強みを持っています。
半導体レーザーマーキング装置の価格相場
半導体レーザーマーキング装置の価格相場は、800万円から1500万円程度です。
レーザーユニット単体は500万円程度ですが、CO2レーザータイプは1500万円程度、それ以外のレーザータイプは、インローダとアウトローダなどの搬送系を付加した装置の場合は、およそ1,000万円程度であると推定されます。
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半導体レーザーマーキング装置の選び方
下記の3項目の基本要素を確認し、生産性、精度などを決めて最適機種を選びます。
- パワー密度印字品質を決定づけるのは、レーザー出力(ワット数)ではなく、印字対象面におけるパワー密度を選定します。
- マーキングヘッドの性能(焦点距離)
- 適した波長のレーザーを選ぶ
半導体レーザーマーキング装置のまとめ
今回の記事では半導体レーザーマーキング装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 半導体レーザーマーキング装置とは 半導体製造工程の最終工程で使用する精密機器
- 完成された半導体や製品に識別番号などを振る・印字するための産業用機械
- レーザーの方式によって「CO2ガスレーザー方式」「ファイバーレーザ―方式」「UVレーザー方式」などの種類に別けられる
- 主要メーカーは、ビデオジェット、日立、ブラザーなど
- 半導体レーザーマーキング装置の価格相場は800万円~1500万円程度
- レーザーのパワー密度などで機器を選定するのが一般的である
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