今回の記事では「実装機/マウンター」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
実装機の価格相場
実装機の価格相場は3,000万円~5,000万円程度と推定されます。
一般的には「分類1のモジュラー方式」は最新鋭機(実装のピッチが狭いもの)で5,000万円以上。普通の実装ピッチの場合は3,000万円程度です。
実装機(マウンター)の種類
実装機とは、電子回路の基板に、集積回路(IC、半導体)やコンデンサーなどの電子部品を配置する装置です。
スマートフォンやパソコンなどの電子機器には、電子部品が正確に配置された基板を搭載する必要があり、実装機はこれらの製造に必須の機械です。
例えば4G対応のスマホは約1500点の電子部品で構成されます。実装機はチップマウンターとも称され、基本的には供給装置から供給された部品を装置のノズルが吸着し、それを基板の指定場所へ搭載(マウント)するのが役割です。この時、部品の搭載精度を高めるために専用の部品認識カメラで測定して補正を行っています。
モジュラー方式
マウンターは主にXY軸のロボットタイプがほとんどです。
装置は、XYロボット軸にヘッドと呼ばれる電子部品を吸着し運ぶ部分、フィーダーを置く部分、認識用カメラ、基板を搬送するコンベアなどで構成されています。
このタイプのマウンターは、モジュラーとも言われています。現在リリースされているマウンターのほとんどはモジュラーと呼ばれています。
ロータリー方式
一昔前はロータリーと呼ばれるヘッドが回転して部品を基板上まで運ぶ機構のマウンターが、表面実装ラインの主役を務めていました。
ロータリーマウンターは、ノズルの吸着位置まで部品供給部が動きます。円筒状に配置されたヘッドが順次部品を吸着し、認識、装着を繰り返す構造です。
モジュラー方式とロータリー方式の決定的な違いは、基板の動きです。
モジュラー方式は基板を固定してヘッドが動いて装着を行うのに対して、ロータリー方式は基板を動かしてヘッドが固定(定位置)です。同様に部品供給部が動かないのがモジュラー方式、動くのがロータリー方式です。
実装機メーカー各社のメリット・デメリット
実装機を扱う主要メーカーは、4社あります。この4社が世界シェアの8割を占めており、中でもパナソニックが実装機では常にトップシェアを確保している状況です。詳しく紹介します。
パナソニック コネクト株式会社(旧パナソニックスマートファクトリーソリューションズ)
2003年に、旧・松下電器産業(現・パナソニック)FA社と旧・九州松下電器(現・パナソニック システムネットワークス)FA事業部が統合して設立された企業です。
実装機メーカーとしては世界最大規模で国内市場の45%、世界市場の30%といずれもシェア率はトップクラス。
開発拠点として甲府、門真、福岡を中心に、世界全体で43の販売拠点、50のサービス拠点、12のトレーニングセンターを持っています。
同社のデメリットとしてはロータリー方式を主力としている点でしょう。モジュラー方式への切り替えが遅れている点が今後のシェアに影響するかは要注目です。
株式会社FUJI
出典:FUJI
1959年に富士機械製造として創業。当初は工作機械からスタートしており、1978年に実装機(チッププレーサー)を開発しました。
1985年には業界初の画像認識付、高速マウンターを発売して以降、様々なマウンターを次々に開発・発売しています。
2021年には、モジュール型高多機能装置NXTシリーズにて10万台を達成。
国内シェアは30%以上とパナソニックに追従してますが、海外は15%程度とパナソニックの半分。海外でのシェア率の低さは弱みといえ、海外市場の開拓がキーです。
ヤマハ発動機株式会社
出典:YAMAHA
1984年にマウンターの製造を開始したヤマハ発動機は、2000年に高速機市場に参入。世界一を謳った「YS24」を発売しました。
2015年には日立ハイテクを統合、翌16年には世界初高速マシンの発売をするなど躍進しています。
近年の国内市場シェアは10%以上、海外は主にドイツ、中国、インド、米国、ベトナム、タイへの進出を行っています。
同社の強味は高速機を保有している点ですが、競合に比べるとまだまだシャア率が低いのも事実です。
JUKI株式会社
出典:JUKI
JUKIは1938年創業の老舗メーカーです。タイプライターやプリンター、そして工業用ミシンを手がけていましたが、1990代には実装装置とその関連装置に参入。
同社の強味は現状マウンターに開発・製造のリソースを絞っている点です。また高速マウンターや前後装置の製造開発もしており、シェアこそ最下位ですが、今後は伸びていくと予想されている企業です。
実装機(マウンター)の選び方
マウンターを選ぶ際に気を付けることは以下の通りです。
- スピード:1部品の搭載速度は0.1秒程度~1秒程度まで、機種によってタクトの差があります。
- 搭載精度スマホ用基板のような部品の微細化、高密化の要求される実装技術では、0.1mm程度の誤差が要求されます。高密実装が要求されない回路基板であれば、0.2mm程度の搭載精度で十分です。
- 部品種類テープに巻かれたチップ部品だけでなく、トレー供給されるような大型の面実装部品も混載される場合は、特殊なパーツフィーダをセットできる大型のマウンターが必要です。
半導体実装機のまとめ
今回の記事では実装機について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 実装機とは 機器の製造工程で使用される機械。電子回路の基板上にICや半導体を配置する装置です。
- 現状、最新鋭のモジュラー方式とロータリー方式の2種類がある
- 主要メーカーは日系の4社。パナソニックやヤマハなどで、4社合計の世界シェアは約80%となっている。
- 実装機の価格相場は推定3,000万円~5,000万円程度
- 機器選定時は「実装の速度」「搭載の精度」「搭載部品の種類」などを総合的に勘案して選ぶのが一般的である