今回の記事では「横型2色成型機(たてがたにしょくせいけいき)」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
横型2色成型機 の種類
横型2色成型機とは、樹脂成型加工の工程で使用する産業用の機械です。分類としては大きく3つに別けられ、以下のような違いがあります。
プランジャー式射出成形機
加熱シリンダー内の成形材料は、ピストンの形をしたプランジャーで圧力を加えることによって注入されます。
1960年代初頭までは一般的な工法でしたが、現在ではほとんど使用されておらず、特別な目的でのみ使用されています。
プレプラスチック射出成形機
2つのシリンダーを組み合わせた構造になっています。
プレプラスチック用の加熱シリンダーの構造に応じて、以下2つのタイプがあります。
- プランジャープレプラスチックタイプ成形材料の予備可塑化には、プランジャータイプとほぼ同じ構造の材料を使用しています。
- スクリュープレプラスチックタイプスクリュータイプは、成形材料の予備乾燥に使用されます。
ねじ式射出成形機
1本のスクリューには、可塑化、ニーディング(よく混合およびニーディング)、計量、成形材料の射出の4つの機能があります。
プレプラスチックタイプとは対照的に、スクリューインラインタイプとも呼ばれ、現代で最も典型的な構造です。
横型2色成型機メーカー各社のメリット・デメリット
横型2色成型機を扱う主要メーカーは、3社あります。
各社ともに機械の特徴やメリット・デメリットがあります。
住友重機械工業株式会社
出典:住友重機械工業
1888年設立の同社はさまざまな製造設備・精密機械を製造し、グローバル展開している総合機械メーカーです。
同社の成型機として代表的なのは以下2機種。
- 中型2色成形機「SE400HS-CI」
90度の位置で停止できる反転板を設置することで、ボルト締めや温度調節配管などの各種作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
また、高精度なねじ制御により、安定した高品質の成形が可能です。
- 小型2色成形機「SEDU-CI/SEHS-CI」
中央にパイプがないため、小型の成形機で同サイズの金型を成形できます。独自の温度調節配管とタイバー間隔の拡大により、大型金型の設置が可能。
課題としては、特殊な用途や新規分野での開発能力はさらに改善が要求され、顧客ニーズとのマッチングアップが求められています。
日精樹脂工業株式会社
出典:日精樹脂工業
日精樹脂工業株式会社は1947年創業以来、射出成形に特化した装置の開発・製造を行ってきたメーカーです。
プラスチック射出成形機を中心に、関連製品の金型や成形システムの開発も行っています。
- 2色成形機「DCXシリーズ」
金型の両面に理想的な金型クランプ力を伝達できる独自の「2ピストン金型クランプ機構」を搭載した2色成形機です。
サーボモーターを制御し、必要な回転数でのみ駆動することで、大幅な省エネ効果を実現しています。
- 2色成形機「DCEシリーズ」
同社のNEXシリーズの「フラットクランプ金型クランプ機構」と「2ピストン金型クランプ機構」の両方のアイデアを取り入れた、金型にやさしい高剛性金型クランプ機構「ダブルフラットクランプ」を搭載。
当社は射出成形分野に特化しており、この方面でのデジタル技術は強みを発揮しているが、ソフト面であるソフトやシステム構築にはアナログ技術との融合化など課題が残されています。
菱屋精工株式会社
出典:菱屋精工
菱屋精工株式会社は1959年に設立されたプラスチック射出成形機を専門とした開発メーカーです。
ローテーブルと可変ポンプを備えた成形機を主に開発しています。
- 縦型2色成形機「VNT-70RS」
横型機よりも設置面積が小さい縦型成形機です。また、可変ポンプを搭載することで大幅な省エネ効果を実現しています。
菱屋精工株式会社は小粒な規模ながらも市場でのニーズは高いのが特徴です。一方課題は、成形商品のバリエーション化に乏しい点です。
横型2色成型機の価格相場
横型2色成型機の価格相場は2500万円~3,000万円程度です。
上記は成型機本体価格で、さらに量産金型またはカスタム化金型(50~150万円/式)、簡易金型(試作品)20~80万円などを加味する必要があります。
金型10セットとした場合は、その費用だけでも1,000万円近くなるため、予算化の際には金型の費用まで加味しましょう。
また、商品変更に伴うレイアウトのチェンジなどにはかなりの時間を要するため、想定されるコスト・工数などは予め見積もっておく必要があります。
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横型2色成型機の選び方
商品ターゲットを何にするか?によって横型2色成形設備の仕様やメカニズムは大きく変わります。
自動車の内装部品、移動端末、カメラなどは、さまざまな設計、性能、機能の要件を満たす必要がありますが、通常の射出成形では製品の特性は使用するプラスチックによって決定されるため、さまざまな要件が必要です。また仕様の限界により対応できない等の問題もあります。
これらの課題に対応するため、多色成形や多材料成形による製品開発が活発化しています。
- デザインを改善するために、さまざまな色相の材料で成形する場合は多色成形
- 2色で成形する場合は2色成形
- 性能と機能を向上させるために異なる材料で成形することを、マルチ材料成形
ビデオやデジタルカメラのグリップ、歯ブラシのハンドル、水泳用ゴーグルなどの場合、複数の材料から硬質プラスチックと熱可塑性エラストマーを成形することで、柔らかな感触を得ることができます。
自動車のドアトリムやインストルメントパネルなどでは、硬質プラスチックの裏側に複数の素材から発泡プラスチックを成形することで、軽量化と剛性向上が可能です。
自動車のリアランプレンズは、透明と赤の2色の透明素材を成形することで、デザインや照明機能を向上させることができます。
横型2色成型機のまとめ
今回の記事では横型2色成型機について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 横型2色成型機とは 樹脂成型加工の工程で使用される産業機械
- 「プランジャー式」「プレプラスチック」「ねじ式」など、様々な分類・タイプの機械がある
- 横型2色成型機を製造する主要メーカーは「住友重機械工業」「日清樹脂」「菱屋精工」など
- 横型2色成型機の価格相場は2500万円~3500万円程度。別途金型の費用も1,000万円程度必要。
- 自社の商品ターゲットによって、装置に求められる仕様が異なる
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