【溶接ロボットの価格相場とおすすめメーカー】搬送方法も要注意!

【溶接ロボットの価格相場とおすすめメーカー】搬送方法も要注意!

2022年7月31日

溶接ロボットの価格相場

溶接ロボットの価格相場は1,000万円~と想定されます。

 

価格決定要因は主に以下の3点です。

  • ロボットのサイズ
  • 治具の回転の有無(裏溶接の有無)
  • 治具段替えの有無

特に裏溶接が必要な場合は「ポジショナ」は必須です。また設備内の配管配線ダクトの設置方法も、金額に影響します。ダクト設置のスペースが十分でないと、ダクトの蓋の取り外しに手間がかかるなどメンテナンス性が悪くなります。

また設備全体の安全柵(カバー)も製作品なのか市販のアルミフレームなのかで金額に影響してきます。アルミフレームは購入金額が大きくなる反面、設置工数は減らせます。ただし同じ工場内の他設備に合わせなければならない等、自由度は少なくなる点は注意が必要です。

 

 

溶接ロボットを製造するおすすめメーカー

溶接ロボットは主に顧客オーダーによる特注品となるため主要メーカーはありません。

 

 

本記事では溶接ロボットを扱っているメーカーを1社ご紹介します。

 

マツモト機械株式会社

MAC

出典:マツモト機械株式会社

1961年創業の産業用機械メーカーです。本社機能は大阪ですが、自社工場を中部および東京に有しており比較的全国規模で製造現場の要望に応えられるメーカーです。

取り扱い製品は主に治具やロボットシステム、金属加工機など幅広く取り揃えています。

中でも今回の記事で取り上げた溶接ロボットにも力を入れており、導入に際しては設計などの相談先として選定してよいと思われます。

 

▼マツモト機械の溶接ロボット『ポジロボ』

 

 

 

溶接ロボットの種類

溶接ロボットとは、溶接工程で使用する産業用の機械または設備です

分類としては大きく2つに分けられますが、以下のいずれの場合も、ロボット本体を含む溶接設備(セル)とワークを設置する治具が必要です。また設備の制御盤とロボット制御盤、アーク溶接機なら溶接電源の設置場所(架台等)も必要になります。

アーク溶接機

ロボットによるアーク溶接(半自動溶接)の設備です。ロボットハンドの先端に溶接用のトーチを設置し、ロボットによって溶接作業を行います。トーチを持てれば良いので、比較的小型のロボット(可搬重量の小さいロボット)が使用されますが、溶接にはシールドガスを使用するためガス配管の設置が必要です。

 

 

またコンジットケーブルの取り回しやワイヤーパックを置くスペース、ノズルクリーナーの設置についても予め考慮する必要があります。

なおアーク溶接機で使用されるシールドガスは、CO2やアルゴン、その他混合ガスなど様々で、客先によって変わります。

スポット溶接機

ロボットによるスポット溶接の設備です。ロボットハンドの先端にスポットガンを装備し溶接を行います。

スポットガンは大きく重量もあるため、スポット溶接のロボット(可搬重量の大きなロボット)は比較的大型のものを使用します。またスポット溶接のための電極冷却用の水配管やチップドレッサーが必要となります。

なおスポット溶接機は、スポットガンが固定されている機器と、ATC(オートマチックツールチェンジャー)でXガンとCガンを切り替えるものがあります。

 

溶接ロボットの選び方

まずは溶接したいワークの大きさや溶接位置、ロボットの可動範囲から設備大きさとロボット種類を選定します。この際に、位置決め箇所やクランプ箇所も同時に決めておきます。

溶接設備(セル)と治具の予算は別となっている場合がほとんどだと思いますが、治具の大きさを見誤ると、設備自体が成立しなくなるので、注意が必要です。

特に治具のクランプやワークセットで横からスライドさせる必要がある場合、その距離以上のスペースが必要です。距離が足りない場合、シリンダをオフセットさせた結果、偏荷重がかかってしまいトラブルの原因になりやすいからです。

次に、裏溶接があるかどうかで、治具の回転有無が変わります。

一般的には裏溶接がある場合は1軸ポジショナで回転させます。治具重量が大きいものや長いものは、反対側にピローを設けた方が、姿勢も安定し、設備寿命も伸びます。

反対に裏溶接がない場合は2軸ポジショナやシリンダで治具を傾けることで、ワークセットのしやすさとロボットの溶接姿勢を確保できます。

次に、治具を「段替え式」とするか「専用」にするかについても決める必要があります。

予算の関係もありますが、将来的なことを視野に入れると治具は「段替え式」にしておくのが無難でしょう。

なお段替えとする場合は、工場内に「段替え台車」や「治具棚」のスペースも確保しておきましょう。

最後に、工場の入り口から設置場所までの設備の通り道です。当然ですが通路より大きな設備は入れることができません。さらに古い工場などは搬入口などが小さい場合もあります。

さらにトラックでの輸送時には高さ制限もあります。海外向けなどであれば、コンテナの大きさ(高さ)なども考慮する必要があります。

設備が大きくなる場合は設備を分割する必要も出てくるため、搬送・設置まで含めて事前に検討するようにしましょう。

溶接ロボットのまとめ

今回の記事では溶接ロボットについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。

  • 溶接ロボットとは 溶接工程で使用される産業用のロボット
  • 溶接の種類によって主に「アーク溶接機」「スポット溶接機」にわけられる
  • 基本的には特注品となるため、ロボット機器を扱うメーカーに問い合わせる必要がある
  • 溶接ロボットの価格相場は想定で1,000万円~(設備により大きく変動)
  • 導入前に機器のスペック面はもちろん、導入時の注意点(搬送方法など)も細かくチェックする必要がある