リニアブッシュ(スライドブッシュ/ガイドボールブッシュ)のおすすめメーカーと価格相場

リニアブッシュ(スライドブッシュ/ガイドボールブッシュ)のおすすめメーカーと価格相場

2022年9月6日

今回の記事では「リニアブッシュ」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。

リニアブッシュの種類

リニアブッシュとは、リニアシャフトと組み合わせて使われ、保持器内部の鋼球の転がり運動を利用して摩擦抵抗を減らしながら、直線運動を行う精密部品です。

メーカーによって呼び名が異なり「スライドブッシュ」や「リニアベアリング」、「ガイドボールブッシュ」などと呼ばれています。本記事では、統一して「リニアブッシュ」の名称で解説します。

ボールスプラインやリニアガイドは同じ働きの製品ですが、より高精度な直動運動が必要な際に使用される精密部品です。

リニアガイド等の耐荷重性能や精度を必要としない工程では、安価で耐久力のあるリニアブッシュが活躍しています。

使用例は幅広く、商品包装機械からOA機械、印刷機械等で組み込まれています。分類としては大きく3つに分けられ、違いは以下の通りです。

①標準型リニアブッシュ:

一般的な機構のリニアブッシュ。一般的なリニアブッシュ以外にも、モーメント負荷に強いリテーナー2個のロング型や、シャフト方向にすり割りが入っており、すきまの調整が可能なすきま調整型などもあります。

②フランジ付きリニアブッシュ:

標準型にフランジが一体となったリニアブッシュ。ハウジングに直接取り付けられるので、ブッシュハウジングの制作が不要。垂直移動機構などで使用する際に便利です。こちらもロング型があり、またフランジの形状に丸形や角形、小判形などの種類があります。

③ケース付きリニアブッシュ:

標準型リニアブッシュにアルミ製のケースがついたユニット。搬送用機械などのテーブルを取り付ける際に便利な仕様になっています。

リニアブッシュメーカー各社のメリット・デメリット

リニアブッシュを扱う主要メーカーは、約10社あります。その中から、国内シェアの高い3社をご紹介します。

THK株式会社(THK)

THK

出典:
THK

THKは、1971年創業の直動機器・部品の世界トップメーカー。

世界で初めて直線運動の「転がり化」を実現し、LMガイドボールねじで世界シェアのトップに立っています。

具体的な数字は発表していませんが、リニアブッシュの分野でも、高い世界シェアを持っている企業です。

2021年には、新たにLMHB型のリニアブッシュを発表。外筒が従来の金属製から樹脂プレートと金属プレートの併用になり、ハウジングに対して圧入して組み込むことが出来るリニアブッシュを開発しました。

ハウジングへの追加加工等の工程を省略できる機能を持つLMHB型リニアブッシュは、THKのみの強みです。

一方で、ケース型リニアブッシュに関しては、リニアガイドに力を入れているためかラインナップは多くありませんので、他メーカーでも検討しても良いかもしれません。

株式会社ジェイテクト(KOYO)

JTEKT

出典:JTEKT

ジェイテクトは、2006年に光洋精工株式会社と豊田工機株式会社が合併して生まれた軸受や駆動部品を製造・販売する部品メーカー。

ジェイテクノのHPやカタログ等では、「リニアブッシュ」を「リニア玉軸受け」と表記しています。

光洋精工は1935年創業、豊田工機は1941年創業と経営実績は長く、トヨタグループとして品質にも自信を持つメーカーです。

リニアブッシュの分野で、ジェイテクトの強みといえば、特殊環境用リニアブッシュの選択肢が豊富にある点。

保持器内部にある玉の素材を、ステンレス鋼とセラミックスで選べたり、潤滑剤も耐久温度や耐久圧力によって4種類から選べたり、使用環境に合わせて選べるので、食品加工機などの温度管理が必要な場面で活躍します。

一方で、カタログ標準品では保持器の素材がステンレス鋼しかないので、一般的な鉄素材でも良い場合は、割高になってしまいますのでご注意ください。

株式会社エイエスケイ(ASK)

ASK

出典:ASK

エイエスケイは、1975年に東京で創業した三亜商事が、1983年に商号変更をして誕生した直動機器・部品を製造・販売するメーカーです。

エイエスケイのHPやカタログ等では、「リニアブッシュ」を「ボールブッシュ」と表記しています。

THKやジェイテクトと比べると小さい企業規模ですが、多数の欧州機械メーカーと技術提携をしており、高い品質力を持っています。

リニアブッシュの中でもケース付きリニアブッシュは、他社でも取扱いが多い通常タイプとロングタイプに加えて、コンパクトタイプや開放型タイプ、スリット入りタイプなど、種類が豊富にある点が魅力です。

ただし、主要メーカーに比べると、どうしても価格が高くなってしまう点がデメリットになります。

リニアブッシュの価格相場

リニアブッシュの価格相場は標準型内径φ3で約800円~φ60で6,000円程度です

一般的に、フランジ付きリニアブッシュは、標準型の約1.5倍〜、ケース付きリニアブッシュは、標準型の約5倍〜の価格になります。

こちらの価格はシール付き、ステンレス素材などのオプションを付けていない参考価格になりますので、ご注意ください。

 

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    リニアブッシュの選び方

    ラインナップと価格の点では、THKを基準に比較検討をするのが良いでしょう。

    THKでも対応できない特殊環境であればジェイテクト、ケース付きで開放型などを使いたい時にはエイエスケイも検討に入れて見てください。

    リニアブッシュは、上記3社以外にも、NSKやIKO、ミスミなど国内の直動機器メーカーの多くが製造・販売していますので、置き換えなどで使用中のメーカー製品が欠品中の場合は、複数のメーカーで相見積もりすることをおすすめします。

    リニアブッシュのまとめ

    今回の記事ではリニアブッシュについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。

    • リニアブッシュとはリニアシャフトと組み合わせて使用される精密部品。保持器内部の鋼球の転がり運動を利用して摩擦抵抗を減らしながら、直線運動を行います
    • 「標準型リニアブッシュ」や「フランジ付きリニアブッシュ」「ケース付きリニアブッシュ」など、様々な種類がある
    • 主要メーカーは、THK、ジェイテクト、エイエスケイなどを筆頭に10社ほどある
    • リニアブッシュの価格相場は、標準型内径φ3で約800円~φ60で6,000円程度

     

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