今回の記事では「半導体リード加工装置」の、おすすめメーカーと価格相場について紹介します。
目次
半導体リード加工装置 の種類
半導体リード加工装置とは、トリム&フォーム(脚切り成型)工程で使用する産業用の機械です。
トリム&フォームは「脚切り成型」と呼ばれます。通常、ワイヤボンディング後のチップは保護のためにモーディング(封止)して固形化します。その後、外部に出ている端子に半田メッキを施しフレームに固定します。
しかし、このままの状態では電気作動する基板に実装できないので、金型にてリードフレームから個々の半導体製品を切断・分離し、外部リードを所定の形状に成型します。
この工程は全部金型だけで加工する工程です。
まず切り離し(トリミング)して、リードを成型(フォーム)。使用する金型の数が、以下分類の実装方法と封止の形(パッケージ)により、脚の曲げ形が異なります。
フォーミングの注意点は、リードフォーミングをより適切に制御する必要がある点でしょう。
金型によっては鉛の亀裂やメッキの層間剥離、またデバイス成形品に損傷が発生してしまうと、湿気が侵入してしまい、デバイスが動作しなくなってしまいます。
挿入実装
挿入実装とは、半導体のリードを1回だけ曲げて半田付けの基板などの穴に挿入し固定する方法です。
この挿入実装に用いられるパッケージ(半導体本体)を成形する方法はT-ベンド(T-Bend/Tベンド/ティーベンド)と呼ばれています。
なおパッケージは、1970年代から主流の「ピン挿入型DIP(Dual in line Package)」に適用されており、電卓やカラーTVなどの製造に貢献していました。DIPはパッケージの2つの側面からリードフレームが出ているもので、ピンピッチは100ミル~70ミルがあります。
表面実装
表面実装では、リードフレームをガルウイング、C-ベンドなどの順番に何回か曲げます。その後パッケージを基盤表面に置き、基板上の(貫通孔)でなく導電金属に接触させて半田などで接続します。
この表面実装で用いられるパッケージはQFP系(Quad Flat Package)と呼ばれており、4つの側面すべてからリードピンが出ており、ガルウイング(L字型)なのが特徴です。
ピンピッチは1.0mmの普通版から先端LSI用の0.3mmピッチまで。
なおQFPの欠点はピンピッチが狭くなるにつれて、リードピンが曲がりやすくなる点です。金型の精度と上下金型の整合、また曲げピンの位置など、曲げ方にノウハウが必要となっています。
半導体リード加工装置メーカー各社のメリット・デメリット
半導体リード加工装置を扱う主要メーカーは、アピックヤマダの1社のみです。半導体リード加工装置自体は他にもメーカーがあるものの、量産体制に適応可能な量産機自体は同社のみ。日本および海外のシェアは90%以上となっています。
アピックヤマダ(ヤマハロボティクスHD傘下)
出典:YMAHA
1953年創業の老舗メーカーで、主に半導体リード加工装置を製造・販売しているメーカーです。
世界シェアは1位で、日本国内でもトップシェアを誇ります。また半導体リード加工装置は先に紹介した「挿入実装(分類1)」「表面実装(分類2)」を扱っています。
同社製品の特徴は、リードフレームを連続搬送し、全自動でトリム&フォームを行える点です。
モジュールと呼ばれる各ユニットに金型をセットし、入口部にフレームマガジンをセットすることで各モジュールを連結できます。
QFPのファインピッチなど複雑な曲げ方を要するときは、フォームの金型を増やし、連結モジュールを増やすことで対応可能です。
強みとしては世界シェアおよび国内シェアがトップである点です。各種パッケージのノウハウなども蓄積している点は他社が追随できない大きな資産と言えるでしょう。
一方、同社の弱みとしてはQFPなどファインピッチの曲げ方が難しい(または新しい)パッケージの
量産立ち上げに時間がかかる点です。
まず試作金型で試行錯誤を行わなければならないためです(ただし試行錯誤せずに装置の製造はできないため仕方がないのですが…)。
アピックヤマダのリード加工装置(汎用品)をおすすめできる分野・業界は、スマホ、パソコン、家電など弱電分野(先端LSI)への導入に最適です。
反対にリード加工装置の汎用品おすすめできない分野・業界としてはパワー半導体のスイッチングに大電流を流す分野です。パッケージのリードフレーム幅が広く厚みもあるため、金型高圧力、金型強度をあげる必要ががあり、専用機対応となります。納期や設計仕様の決め方にも時間がかかる点は注意が必要でしょう。大洋電機など専用機をあつかっているメーカーに対応してもらう方法も選択肢として考える必要があるかもしれません。
▼懸念:半導体リード加工装置がほぼ1社独占状態
半導体業界全体としては、このトリム&フォームの工程を行える装置が、1社同社独占状況という点は危惧すべき必要があるでしょう。
現状は先で紹介したとおり、アピックヤマダのみがリード加工装置を世界および国内に供給しています。
装置製造に必要な材料や電子部品の供給が断たれた場合、アピックヤマダとしても装置の製造が行えず、ひいては世界的に半導体が作れなくなるという悪循環を生むからです。
半導体リード加工装置の価格相場
半導体リード加工装置の価格相場は、金型とモジュール装置に区分されます。
- 金型:分類1=150万~200万円/1金型分類2=300万~400万円/1金型(※)
※分類2は、2~3モジュール(2~3つ)の金型が必要
- モジュール装置は、4連結で4,000万~5,000万円と推定されます。(※販売価格については非公開のため、あくまで推定価格、予測値です)
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半導体リード加工装置の選び方
装置の選び方は、以下の2通りです。
- 従来の曲げ方で対応できるか
- 新規な曲げ方であれば、ユーザー側も必要データを開示して、共同で金型を開発する
基本的には、金型を上下させているだけの装置であるため、パッケージとピッチの規格などをアピックヤマダに開示し、メーカーと協議する方法となります。
半導体リード加工装置のまとめ
今回の記事では半導体リード加工装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- 半導体リード加工装置とは トリム&フォーム工程で使用される機械
- 「挿入実装」「表面実装」の2種類
- 主要メーカーはアピックヤマダの1社のみ
- 半導体リード加工装置の価格相場はトータルで4,000万円以上
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