目次
ALD装置の種類
ALD装置とは、半導体製造の薄膜形成工程で使用する産業用の機械です。
半導体以外に、ディスプレイや電池、バイオメディカルなどさまざまな分野で使われています。
ALDとは「Atomic Layer Deposition」の略です。日本語では「原子層堆積」と訳されます。
薄膜形成技術はほかにもプラズマCVDやスパッタリング、真空蒸着など複数あります。
そのなかでもALDは、原子層を1層ずつ堆積させるのが特徴です。そのため膜厚の制御性と均一性に優れています。
平面はもちろん、細長い穴や複雑な形状でもまんべんなく成膜できます。低温で成膜できるのもメリットです。
デメリットは成膜に時間がかかることです。
分類としては大きく2つに分けられ、以下のような違いがあります。
枚葉式
ウエハを1枚ずつ処理します。温度などチャンバー内の環境をコントロールしやすいです。
そのため、よりクオリティの高い薄膜を形成できます。スループットの悪さがデメリットです。
バッチ式
ウエハを複数枚同時に処理します。スループットが良いので生産性が高いです。
コストが抑えられます。枚葉式にくらべるとプロセスの制御性やクオリティは下がります。
ALD装置を製造するおすすめメーカー
ALD装置を扱う主要メーカーは、10社ほどあります。その中でもおすすめのメーカーを2社ご紹介します。
東京エレクトロン株式会社(TEL)
1963年設立の半導体製造装置メーカー。2021年の売上高は国内トップ、世界でも第3位です。ALD装置は遮蔽ガスを用いる独自の成膜手法を開発しています。ウエハのステージが1回転すると、ALDのプロセスが1サイクル完了する機構で、高いスループットでの量産が可能です。
株式会社KOKUSAI ELECTRIC(KE)
2017年設立。1949年創業の株式会社日立国際電気から独立した半導体製造装置メーカーです。成膜技術に強みがあり、ALD装置では「BCD(Balance Controlled Deposition)」という独自の技術を開発しています。バッチ式でも優れた成膜が可能で、顧客から高い評価を得ています。
ALD装置の価格相場
ALD装置の価格相場は非公開ですが、想定値は数千万円〜数億程度です。
装置サイズやスループットによって変わります。
ALD装置の選び方
微細な回路パターンでクオリティの高い薄膜が要求される場合は枚葉式です。
ある程度のクオリティで対応できる回路パターンならば、高いスループットでコストが抑えられるバッチ式を選びます。
ALD装置のまとめ
- ALD装置は、半導体の製造工程で使用される「薄膜形成装置」
- 枚葉式とバッチ式の二種類に分類される
- 主要メーカーはTELを筆頭に10社ほど
- ALD装置の価格は、数千万円から数億円程度