半導体ダイシング装置のおすすめメーカーと価格相場

半導体ダイシング装置のおすすめメーカーと価格相場

2022年7月18日

半導体ダイシング装置の価格相場

半導体ダイシング装置の価格相場は公表されていませんが、2500万円~3500万円程度と想定されます

 

 

ダイシングブレードの幅(25μm~50μm(ナノメートル))が狭くなるほど精密切断が必要なことから、加工精度を上げるために装置価格は上昇します。

例えば、先端専用LSIなどは幅25μmと極細であるため、装置価格は高い傾向にあります。

一方、汎用LSI(家電用製品向け半導体)などは幅50μmと標準製品であるため、価格は安くなります。

半導体ダイシング装置 の種類

半導体ダイシング装置とは、半導体製造の工程で使用する産業用の機械です

 

半導体素子はウエハ上に複数形成されていますので、まず初めにウエハを切り分けて各素子を分割しておく必要があります。そして、この分割のことを“ダイシング”と言います。

分類としては大きく2つに別けられ、以下のような違いがあります。

 

ダイサー方式

前工程(シリコンウエハと呼ばれる上に相当数の半導体回路を形成する)のウエハをUVシートに張り付けダイシングストリート(素子間の切り取り線路)に沿ってダイシングブレードの刃を入れて切断します。

このとき、ウエハとダイシングブレードの摩擦による熱の冷却や切削屑を除去するため、切削箇所に純水を噴射しながら加工します。ウエハーをカットし、1個1個のチップ(ダイ)に切り取り、赤外光線を裏面より照射して、次のダイボンド工程でピックアップされます。

通常は50μmの厚みの円盤状ダイヤモンドブレードを高速回転させ、ウエハーを正確にチップ(ペレット状)に切断します。樹脂に工業用ダイヤモンドを埋没させたダイヤモンドブレードが主流です。又、ブレードの厚みは対象素材により異なりますが、先端品シリコンウェハを切断する際は20µm~35µm程度の物が用いられます。

レーザー方式

複雑な微小素子が既に組み込まれているチップや、中空部がある構造のチップ等、MEMSと呼ばれているチップの切り出しは、一般的には洗浄水や加工負荷に対してあまり強くありません。このためブレードで直接回転させないで、加工・洗浄に水を使用しない上、チップの表裏面へのダメージもほぼないため、高品質なMEMSの加工が期待できます。

 

半導体ダイシング装置メーカー各社のメリット・デメリット

半導体ダイシング装置を扱う主要メーカーは、2社あります

この2社がディスコ(DISCO)と東京精密であり、両社で世界シェアの9割を占めています。(8割がディスコ、1割が東京精密)

株式会社ディスコ(DISCO)

出典:DISCO

 

1937年の創業前は砥石を扱っており、ダイシングブレードに微細なダイアモンドを付着させ世界で初めてこの砥石の技術を半導体製造工程の切断に導入した会社です。

いまだにこのダイシングブレードは、同社のみの技術で世界でも代替技術がありません。次に紹介する東京精密もダイシングブレードはディスコより購入しており、これが代替不可能な独自技術が同社最大の強みといえます。

また0.0001mm単位での制御が可能で、1mm四方以下までのチップにも対応。レーザー方式にも対応できます。

強いて弱みをあげるならば、量産用の装置に特化している点でしょう。カスタム的な装置には納期まで時間がかかります。

また量産品も製造能力には限りがあるため、納期を設定して導入計画が必要でしょう。

株式会社東京精密(ACCRETECH)

出典:ACCRETECH

 

会社の設立は1949年で、当初は精密計測器で半導体業界に参入。

画像認識、NC制御の技術を保有しています。またディスコ社製のブレード供与を受け、半導体ダイシング装置に参入しました。

現在はシェア率は1割程度ですが、安定した操業を続けています。

ディスコに比べダイシングの対応範囲は絞られていますが、半導体回路の裾野は広く対応しています。

同社の強味は、まさに「精密」であること。その代表的な製品は「真円度・円筒形状測定機」で、この分野では世界最高クラスの超高精度を誇っています。

 

半導体ダイシング装置の選び方

この分野では、ディスコ(DISCO)一強です。精度も高精度で、先端品量産ラインが大規模で生産数が大きく、操作性のためにも同一の装置を並べる傾向にあります。汎用LSIの生産でもディスコを選ぶ企業が多いでしょう。

一方、小規模ラインや研究室などは精密測定器などとのセットとなるため、東京精密も選択肢になり得ます。

ただし研究室に関しては、MEMSチップなどを開発している場合はディスコ製品を選定することになると思われます。

半導体ダイシング装置のまとめ

今回の記事では半導体ダイシング装置について解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。

  • 半導体ダイシング装置とは半導体の加工工程で使用される産業用の機械
  • ダイサー方式やレーザー方式の種類がある
  • 主要メーカーはDISCOで、同社が世界シェアの9割を保有している
  • DISCO社1強の理由は、同社が保有する代替不可能な独自技術によるもの
  • 半導体ダイシング装置の価格相場は公表されていないものの、想定値として2500万円~3500万円程度
  • 基本的にはDISCO製品を導入するのが一般的である
  • ただし小規模ラインや研究室などでは東京精密の機器も選択肢となり得る