目次
レオメーターの価格相場
レオメーターの価格相場は100万円~数千万円程度です。
レオメーターと一括りにすると相場の算出が難しいのですが、一般的には最低限の機能性しか有していない機器が100万円から数百万円。
測定精度や性能、そして機能が上がっていくほど機器本体の価格も上がっていきます。
レオメーター価格のクチコミ
低粘度液体のレオロジー測定のために、株式会社大菜技研の共軸二重円筒形レオメーター ONRH-1型を590万円で導入しました。メンテナンスの容易さや、サイズ・コスト面でもかなり良かったと思います。 扱いやすさもダントツに感じました。(神奈川県 男性)
無機質水溶液の粘性測定用にヤマト科学製のレオメーターを付属設備込みで約400万円で購入しました。
レオメーターの種類
レオメーターとは、物質の弾性や粘性などの性質を測るのに使用する高精度の回転式粘度計です。
レオロジーと呼ばれる物質の変形や流動に関する特性を研究する分野で使用される計測機器はレオメーターとされて販売されているものもあり、広く動的粘弾性装置などのレオロジーでの測定で使用さられる計測機器の総称としても使われます。
代表的なものとしては4種類に分けられ、以下のような違いがあります。
①回転式レオメーター
最も一般的なのが、こちらの回転式レオメーターです。
構造は回転粘度計を更に高性能化したものであり、回転粘度計では難しい一定回転数ごとの粘度が測定できるのが特徴です。
また非ニュートン流体(加える力により粘度が変わるもの)の性質を調べられます。
更に製品によっては測定物に振動を与え、粘度だけでなく弾性も測定できるものもあります。測定物の流動特性をより詳しく調べることが可能なのが特徴です。
②キャピラリーレオメーター
シリンダー内に充填した測定物をピストンで押し出し、その際の圧力を測定することで測定物の流動特性を調べられるのがキャピラリーレオメーターです。
一般的に固いとされるゴムや樹脂製品などの特性を調べるのに向いています。
一方で、柔らかい、緩いといった低粘度の測定には向いていない点はデメリットでもあります。
またピストンの動作は「油圧」で動かす構造の機器が多く、装置自体が大型になりやすいという点もデメリットとして挙げられます。
③音叉振動式(おんさしんどうしき)レオメーター
測定物内で2つの振動子(しんどうし)を共振させ、一定振幅で動かすのに必要となる力を測定します。その測定値によって粘度を調べるのが音叉振動式レオメーターです。
装置の構造が比較的単純であることから小型なのが特徴です。また反応性も高く、測定物の組織破壊も少ない点は音叉振動式のメリットでしょう。
ただし対象の粘度しか測定できない点や強い力をかけられない点はデメリットとしてあげられます。
④テクスチャーアナライザー
主に食品の測定に使用される測定物の固さや弾力などの食感などを数値化する産業用の機械です。
レオメーターメーカー各社のメリット・デメリット
レオメーターを扱う主要メーカーは、約20社ありますが、ここでは知名度が高いメーカーを5社ご紹介します。
株式会社アントンパール・ジャパン(Anton Paar)
出典:Anton Paar
アントンパールはオーストリアのグラーツに本部を置く、測定関連専門のグローバルメーカーです。
1922年に創業して以来、分析機器の製造と販売を行っており、世界各地に多くの支社、子会社を有しています。
技術力が高い点や産学連携による信頼性などが高く評価されており、日本では日本支社であるアントンパール・ジャパンが販売などを対応。
世界で初めてデジタルの密度計を発売したメーカーであり、商品ラインナップも卓上の高精度のものからポータブルタイプまで製造、販売しています。
同社は、本サイト内の回転粘度計や密度比重計の記事でも紹介したメーカーですが、回転式レオメーターも高い信頼を持っています。また世界規模で1万台以上の導入実績を持っているため、業界シェア率もトップクラス。
レオメーターの商品ラインナップも多く小型なものから大型で多機能のものまで幅広く販売しています。
英弘精機株式会社(EKO)
出典:EKO
1927年創業の理化学機器、計測機器などを製造、販売をする老舗メーカーです。
高い精度、技術力があり「直達日射計と全天日射計の校正」と「粘度測定及び粘度計校正」で試験所・構成機関認定ISOを取得しており、技術力、校正能力の高さが証明されています。
同社も回転粘度計の記事内で紹介したメーカーで、測定機器の分野では信頼と実績を有しています。
Cannon Instrument Company(CANNON)
出典:CANNON
CANNON(※)は、科学者であり発明家でもあるMichael R. Cannon博士によって、1938年に設立された老舗メーカーです。主にレオメーターや粘度計などを製造・販売しています。
同社は元々、レオロジーに関する研究を行っていた企業を源流としており、その分野に関する知見や分析技術力は非常に高いのが特徴です。
製品の品質も高く世界的に認められている企業であることから、様々な企業や研究機関で同社製品が使用されています。
※名称が似ている日本企業のキヤノンとは資本関係は一切ない別企業です。
株式会社大菜技研
2014年に設立された業界では比較的若い企業です。産業技術総合研究所の国際特許技術を使って、エアベアリングを使用しないで微小なトルクを測定する高性能なレオメーターを作ることを目的に創業した会社です。
株式会社大菜技研レオメーターのクチコミ
低粘度液体のレオロジー測定のために大菜技研の共軸二重円筒形レオメーター ONRH-1型を590万円で導入しましたが、メンテナンスの容易さや、サイズ・コスト面でもかなり良かったと思います。 扱いやすさもダントツに感じました。
ヤマト科学株式会社
1889年に医薬用ガラスの商社として事業を開始し、現在は大学の研究室やメーカー等の研究開発に必要な理化学機器・研究設備・産業機器を製造・販売しています。
ヤマト科学株式会社レオメーターのクチコミ
スラリー(粘土含有の水溶液)の粘度を主体に測定するためにヤマト科学のレオメーターを購入しました。設置・測定とも容易でメンテナンスも楽。誰でも使えるようになる装置だと思います。また開発部門でも工場でも安心して使用できる機器です。
レオメーターの選び方
レオメーターの選定する際は、まずは用途を明確にしましょう。
そして以下の点を確認することで、選定の範囲を狭めていくのが一般的です。
- 機器のスペック
- 機器のサイズ
- 導入コスト
高機能で幅広いものの測定できる製品は便利ですが、導入コストは大きく上がってしまいます。また製造ラインなのか研究用途なのかで、必要となるスペックなども変わってきます。
使用する測定物、測定範囲などを明確にし、選定機器で確りと計測が可能か?などを見極めるのが重要です。
レオメーターのまとめ
今回の記事ではレオメーターについて解説しました。今回の記事内容を簡単にまとめます。
- レオメーターとは物質の弾性や粘性などの性質を測る際に使用される機器
- 「回転式レオメーター」や「音叉振動式」など、様々な種類がある
- 主要メーカーは海外の企業が多いものの、日系企業では「英弘精機」などが力を入れている
- レオメーターの価格相場は、用途スペックでまちまちだが、およそ数百万円~数千万円程度である
■執筆担当者:KenOs 昼は自動車整備士、夜は覆面の執筆者、趣味はバイクという、ライター界きっての機械マニア。 そんな機械に囲まれた最高の生活を送っているが、そろそろお金と美女にも囲まれたい、バイクには乗れるが時代の波にももっと上手く乗りたい……といった悩みも。 |